
11月13日、耕作権裁判の立証・証人調べが千葉地裁で始まった。成田空港会社(NAA)の提訴から17年、立証責任を負うNAAが裁判所の文書提出命令に従わず証拠を隠してきたため、超長期の裁判となっている。
この裁判は、NAAが市東さんの耕作地を「不法耕作地」と言いがかりをつけ、明け渡しを求めているもの。その訴えの唯一と言っていい証拠が「境界確認書」や「同意書」だ。ところがそこには市東さんが耕作していない土地(「E1土地」と呼称)が含まれていた。なぜそんなことになっているのか。旧地主と旧空港公団(NAAの前身)の交渉記録や公団職員の証言が提出されれば真偽がはっきりするが、NAAは提出に一切応じず、地裁・高裁の文書提出命令も拒否し続けている。
立証に入る直前の9月の進行協議の場で、千葉地裁齊藤裁判長は「原告NAAが裁判所の文書提出命令に従わないことで、同意書、境界確認書によって賃借地の位置を特定ができない」と言明。10年もかけてやっとこの判断かという思いもあるが、これでNAAの主張の根幹が崩れた。今後の証人尋問でNAAによる農地取り上げの不当性と不法性が全面的に明らかにされる。
11月13日、その第1回目の証人尋問が行われた。
第1回目の証人の一人目は、旧空港公団用地部職員である法理哲二。NAAが隠し続ける買収当時を知る重要人物の一人である。ところが裁判長が証人を呼べども返事も姿もなし。理由も告げずに出廷を拒否したことが明らかになった。法廷が騒然となるなかで、弁護団は再尋問を求め、裁判長は「検討する」と答えて、強引に次の証人調べに移った。
次の証人は橋本正次さん(東京医科歯科大学名誉教授)。「E1土地」の年代ごとの航空写真(15枚)の鑑定結果を証言。この土地は、当初から防風林として針葉樹が植わっており、隣接する石橋家から年を経るごとに広がっていることから、そこが石橋家の小作地として石橋宅と一体で利用されていることなどを証言した。鑑定証言から「E1土地」は、石橋家の小作地であり、市東家とは無関係であることがはっきりした。
証言は、12月18日(月)、1月22日(月)へ続く。いずれも13時45分~、千葉地裁601法廷。
