健康保険証の廃止問題でとかく話題に上るマイナンバーカード(マイナカード)。その問題性を「管理・監視社会化に反対する大阪ネットワーク」の木村真さんが、大阪市内の集会で話した(12月6日)。
マイナンバー法とは、私たちの個人情報を丸裸にするものだ。政府は「危険人物」の選別・排除といった治安対策のためにこれを使う。民間企業は、集めた膨大な個人情報を新たな商売のネタとして活用する。IT利権とも結びつく。政府は民間活用という方向性をすでに閣議決定(2020年)している。マイナカードに付いているシリアルナンバーに対する規制は、ザル法と言われる個人情報保護法だけで、ほとんどないに等しい。
マイナカードの民間活用とは、スーパーなどのポイント、鉄道系カード、会員カード、社員証などがあげられる。自治体では印鑑登録カード、図書カードに利用できる。官民双方でいろんな利用法があるため、あらゆる個人情報を集めることが可能になる。
民間活用とは、それを商売のネタに使うということだ。一方政府は、自分たちにとって都合のいい方向に人びとを誘導するために使える。ということは逆に、都合の悪い人間を排除するために使うこともできる。
顔認証などの個人認証技術、生体認証技術と街中に張り巡らされた監視カメラを組み合わせれば、人が生まれて死ぬまでの一挙手一投足を捕捉することが可能になる。こうしたおぞましい社会の一歩手前まで来ている。
マイナンバー制度とは民主主義の前提となる情報を、国家権力が独占するためのものなのだ。廃止すべきは健康保険証ではなくマイナンバー制度である。(池内潤子)