
第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が開催中の12月2日、米エネルギー省は、2050年までに世界の原発の設備容量を3倍に増やすという宣言を発表した。これには22の有志国が名を連ねており、日本政府も賛同した。
原発回帰にのめりこむ岸田政権のエネルギー政策に反対する集会が3日、大阪市内で開かれた。主催は老朽原発うごかすな! 実行委員会。原子力市民委員会座長で龍谷大教授の大島堅一さん(写真)は特別アピールで、「原発回帰の3つの論拠」を徹底批判した。
政府が原発を拡大する理由としてあげるのは、次の3つだ。第一に電力需給のひっ迫。第二に温暖化対策。第三に「原発は安い」というもの。
「電力需給がひっ迫しているから原発が必要」というのはまったくのウソだ。ひっ迫が生じるのは10年に1度と言われるような異常気象の時で、その場合は電力消費のピーク時に数時間だけ消費量を下げればよい。再稼働に1~2週間もかかる原発は電力ひっ迫時には何の役にも立たない。
原発が温暖化対策に効果があるというのも間違い。国際的な研究結果では、原発を増やした国では二酸化炭素は減っていない。
「電気代が高いから原発を」というが、福島第一原発事故では低レベル放射性廃棄物(L1廃棄物)が28万トンも出た。原発1基を廃炉にするときの量の1千倍以上だ。処分法も決まっておらず、コストがどれくらいになるかはまったく計算されていない。これは大きな負の遺産。原発による経済的利益は全くない。
