
政府は行政手続のオンライン化を急いでいる。龍谷大学教授の本多滝夫さんは、これが監視国家への道を開くと警鐘を鳴らす(昨年11月29日、大阪市内の勉強会)。
行政手続のオンライン化は「オンライン市役所」「書かないワンストップ窓口」など住民の利便性が高まる側面もあるが、これだけではデジタル社会は実現しない。
デジタル社会を駆動する鍵となるのが、膨大な個人情報を管理する行政の情報システムを民間事業者の情報システムに連携させることだ。行政手続上のデータ連携はマイナンバーだけで可能だが、民間事業者はアクセスできない。そこでマイナンバーカードやマイナポータルが、民間事業者に情報を提供するために作られた。それによって人間行動を予測し、「商品化」することが可能になる。人間の情報の流れを自動化するだけでなく、人間を自動化する資本主義は「監視資本主義」と呼ばれる。これは「監視国家」へ道を開く可能性がある。それは住民の行動を監視して政府にとって都合の良い方向へと行動変容を促し、データ解析で政府にとって都合の悪いと判断された住民を「矯正」する国家のことである。
