安倍派のパーティー収入不記載事件が自公政権を揺るがしている。一連の「裏金事件」は自民党が組織的に腐敗と汚職を深めてきたことの、氷山の一角にすぎない。近畿財務局職員だった赤木俊夫さんの命を奪った「森友学園問題」(大阪地検は不起訴処分)、前文科省事務次官の前川喜平さんが不正を告発した「加計学園問題」や「桜を見る会問題」(全国の弁護士や学者660人が告発状を東京地検に提出したが不受理)、東京オリンピック汚職などなど、アベ政治が引き起こした政治腐敗は枚挙に暇(いとま)がない。これらの事件がきちんと扱われていれば、今回の件もとっくの昔に捜査が入っていたはずだ。
それでは「安倍派切り」で岸田首相は延命できるだろうか。岸田政権は、安倍派と二階派に支えられた脆弱(ぜいじゃく)な政権基盤にある。さらに、岸田首相が22年9月27日に強行した「安倍国葬問題」なども、今後大きな問題になるだろう。「安倍国葬」は岸田首相が閣議決定を行い、国会審議を経ずに強行された。自ら葬儀委員長を担うなどその責任は重い。弁護士、宗教者、ペンクラブ、ジャーナリスト、消費者団体、労働組合などの反対を無視したツケが回ってくるだろう。岸田首相が「パーティ券問題」の責任を安倍派に押し付けた分だけ、「そんな輩(やから)を、12億円もの税金を使って祀(まつり)り上げた責任はどうなのだ」という怒りがわきあがってくる。(魚住)