
ついに、きょう(12月28日)、国は「辺野古埋め立て承認を国が代執行する」と県に通達した。ここまでの推移をたどってみる。10月30日、辺野古承認を求める国の指示に沖縄県が従わなかったため、国の代執行可否の裁判が高裁で行われ、玉城知事が意見陳述を行った。このあと証人尋問もなく即日結審した。
今までの裁判の経過から、この時点で判決内容は予想できた。即日結審だから判決は早く出ると思われたが、12月20日になった。その間、オール沖縄主催の知事激励が11月5日に、11月23日も「沖縄を再び戦場にしない県民の会」主催で、事実上の知事激励が行われた。この日は1万人もの参加者があった。
それからほぼ1カ月後の高裁判決である。判決が遅れたのは、県が不承認とした中身を審査してのことなのかと思ったが、国寄りの判決と言われたように、前から決まっていたと思わせる内容であった。県民の怒りも「収まった頃合い」を見ての判決言い渡しなのかと勘繰りたくなる。おまけに判決文には、「歴史的経緯を背景とした、埋め立てに対する県民の心情も十分理解できる。国と県が対話を通じた抜本的解決を図ることが強く望まれる」とあった。
そうならば、なぜ知事が言うように判決に反映させなかったのか。国の言う通りの判決にしては、自身にやましいものを感じたからなのか。
沖縄だけの
闘いではない
12月25日、肺炎で入院中の知事に代わり、知事公室長が「不承認」を伝えた。救いは知事の不承認発言にある。国の圧力、裁判の判決にめげず不承認を貫いたことは、全国の自治体に以下の発信することになったのではなかろうか。この判決を放置すると、「もう国の事業にはノー」と言えない。「特に国防については、国の言うがままになりますよ」という発信である。もし、国防に関して他の地方自治体のノーがあり、それを国が受け入れるとなれば、それは沖縄差別と言える事態だから。それは無いはずだ、としておこう。
それにしても、まだ自治体からの反応はない。その前に、県外のテレビや新聞による報道が少ないのが気にかかる。世論の盛り上がりがあって自治体の反応が出てくるのだが、まだ聞かない。沖縄だけのたたかいにならないよう願いたいものだ。勝つにはここがポイントである。
12月26日、オール沖縄主催の学習会があった。2人の講師からはそれぞれ、判決文の不当性と再撤回の道があるとの話があった。会場いっぱいの参加者だった。みんな次への展望を探りたかったのだ。
大きな埋もれ火に
知事は27日に最高裁に上告した。その日の朝、辺野古ゲート前では30人ほどが座り込んだ。マスコミの取材は、共同通信だけであった。搬入ダンプは少なく、それも朝1回で終わった。最高裁に上告しても、国による代執行によって防衛局は1月12日から埋め立てに向け作業を始めると言う。
いま、これからのたたかいに良い展望はない。しかし、ゲート前は続けられ、少なくとも次のたたかいへ「埋もれ火」になるだろう。それは、大きな埋もれ火である。
(富樫 守/12月28日)
「ベートーベン交響曲第9番 合唱」
♪おお友よ、このような調べではない! 我々はもっと心地よい もっと歓喜に満ち溢れる歌を歌おうではないか (中略)兄弟姉妹たちよ、自らの道を進め 英雄のように喜ばしく勝利を目指せ(中略) 星空の彼方に神を求めよ 星々の上に、裁きの神は必ず住みたもう♪ (一部超訳)
