
「非戦の国から軍事国家への危機」を問う総がかり行動関西集会が開かれ、前泊博盛さん(沖縄国際大教授)の講演があった(神戸市内、11月24日)。前泊さんは「安保3文書と“台湾、沖縄、日本有事”騒動とは何か」「自衛隊配備の急拡大、南西シフトと“有事”」「日米安保と沖縄、普天間・辺野古、安保は日本を護るか」など現状と問題を明らかにした(要約)。
安保3文書が示す大軍拡
関西にきて新聞(神戸新聞)を見ると「プロ野球日本一」パレードが1面、社会面と全面に踊っていた。沖縄2紙は、いずれも県民集会を大きく扱った。その落差に愕然とした。
安保3文書が大問題だ。「台湾有事」「沖縄、日本有事」を煽りながら、「異次元の軍拡」が国会審議なしに閣議決定で決められた。日本は、憲法より閣議決定が優先される国になってしまった。5年間で43兆円にも上る軍事費拡大。そうなれば世界3位の軍事大国になる。「非戦の国から、軍事国家へ」の危機と言ってもいい。
沖縄は、沖縄戦で十分に戦火と被害を受けた。戦後は78年間も米軍基地に苦しめられてきた。やるなら、沖縄以外でやってほしい。
「同盟強化、同志国(G7やASEAN諸国など)連携」の狙いとは。「中国包囲網(抑止力)」とは何か。中国と戦争をする気ですか。「敵基地攻撃能力」の保有は、偶発的戦争勃発の危険も高める。南西諸島に並ぶミサイル基地は、戦争になれば標的になる“マグネット効果”をもたらす。過去の台湾海峡問題では、核戦争の危機すらあった。
自衛隊は住民を守らない
あるとき米軍の司令官が「戦争は政治家が始め、若者、兵隊が死ぬ」「軍隊は(戦争を)止められない。止めるのは民主主義、みなさんだ」と言ったことがある。自衛隊、軍隊は南西諸島の住民を守らない。「避難計画」を言っているが宮古6万1千人、八重山、石垣、西表など7万5千人が急遽どこへ行けるのか。絵空事だ。
「普天間の危険性除去」を理由にした辺野古新基地建設は、当初の3600億円から9300億円に膨らんだ。普天間では施設の更新、補強、新たな施設建設が進んでいる。「辺野古より普天間が理想的」(米軍)。閉鎖、返還はフェイクではないか。
11月23日は、これまでの3万人、5万人、10万人大会ではなかった。若者、女性、子育て世代の人たちが中心になった1万人県民集会。音楽あり、子ども連れ、市町村の若い議員たちが集まり…、「自分たちの未来は、自分たちが作る」とアピールした集会だった。「我なきあとに洪水は来たれ」であってはならない。
憲法、安保、沖縄「検定問題」
――前泊さんの資料に、「日本の『主権』と憲法・安保・沖縄に関する基礎検定」が添えられていた(別紙)。「米軍基地を抱えている都道府県数は」「日本にある米軍基地数は」「日本に駐留している米軍人数は」「在日米軍駐留経費の日本の負担率と負担額は」「米国が、いざという時に日本を守ってくれるという根拠は」など33問が並んでいる。
「難問」ばかり、その場で提出した人はいなかった。前泊さんは「私の講座を聞いてもらえば80点は取れますよ」と話していた。
「戦争が玄関から」
総がかり行動からは、羽柴修さん(兵庫県弁護士9条の会)が訴えた。
「ウクライナ、パレスチナで戦火が続き、市民・子どもたちが理不尽に殺されている。アメリカによる『イスラエルの自衛権』とは、結局のところガザへの無差別攻撃だ。暴力、戦争では解決しない。話し合い、対話こそ。憲法9条は、日本だけでなく世界に向けられたもの。一方、岸田政権は大軍拡予算を組み、軍事国家になると宣言している。安保3文書は、沖縄・南西諸島だけではなく日本全国、国家総動員計画となっている。もはや「戦争が廊下の奥に立っていた」(渡辺白泉、1939年)ではなく、正面玄関から入って来ようとしている。絶対に許すわけにはいかない。大軍拡と戦争を止める声、行動を強めたい」―。
