新春の集いで講演する小谷野毅さん=1月14日、京都市

労働組合つぶしの大弾圧を許さない! 京滋実行委員会の主催で「2024新春の集い」が1月14日、京都市内で開かれた。連帯ユニオン本部書記長の小谷野毅さんが「これがフツーの労働運動だ!」と題して使用者概念を拡大する闘いや争議と解決金に関する教訓などを話した。

闘いの成果と課題

関生弾圧では4つの刑事裁判で判決が確定した。大阪ストライキ事件1次と2次が有罪。和歌山広域協組事件とタイヨー生コン事件で前委員長の無罪が確定した。これは有罪率99・9%の日本では異例のことで、そもそも立件が無理筋だったのだ。
また大津地裁の裁判では検事が組合脱退を強要するなどの違法行為が暴露された。組合つぶしが目的で仕組まれた事件だったのだ。
一方、大阪府労委で救済命令が出ていた事件が、中労委で覆されたり、昨年11月には大阪地裁(民事)で、ストライキが「金目当ての報復で正当な争議行為ではない」とする判決が出たりしている。これらから窺えることは、検察がいかに恣意的な見立てで事件をつくりあげているかであり、裁判官がいかにずさんな事実認定を行っているかである。
「和歌山カレー事件」をでっち上げた小寺という検察官は、動機もない、証拠もない、証人もない、何もない状況でも、マスコミを使って被告を「悪人」に仕立て上げることだけを徹底的にやっている。狭山事件でも袴田事件でも、検察官は相当悪い。それが仕事だと思ってやっている。
福岡県警で工藤会をつぶすことを先頭でやっていた警察官は、自著の中で「事実に基づくのではなく、組織をつぶすことだけを目的に徹底してやるべきだ」と述べている。関生弾圧はこうした警察の方針に基づいてやられている。
また企業別労使関係の枠組みでしか判断できないという裁判官の事実認定能力の低下に対して、どう対応していくかも今後の課題だ。

使用者概念の拡大

続いて小谷野さんは、1971年から総評全日建で闘ってきた経験に踏まえて、重層的下請け構造の下で発展してきた建設産業について説明した。
「使用はしているが、雇用はしていない」と公然と言い放っていたゼネコンに対して、現場で働いているすべての労働者の労災の責任をとらせる闘いに取り組み、それを実現してきた。総評時代の全国金属や全国一般が使用者概念を拡大する闘争に取り組んできた。

争議と解決金

解雇を撤回させたときは賃金のバックペイだけでなく、雇用保障の解決金を獲得するようになった。東芝アンペックスやパラマウント、大分キャノンの争議では直接雇用関係にない親会社にたいして闘った。親会社の門前でピケ闘争をする中で勝ち取ってきた。
さらに団結の拠点の維持ということで、土地建物を組合に無償で譲渡させた。こうした闘いは大阪の港合同・田中機械の大和田幸治委員長(故人)が、「団結をいかに維持するか」という観点から貫いてきたものだ。
1980年代から2000年代にかけて、このような闘いを発展させ、08年のリーマンショック以降の品川の京品ホテル闘争では、倒産争議の和解でバックペイだけでなく雇用保障の解決金を認めさせた。
労働者の当たり前の権利として勝ちとってきた闘いを引き継いでいるのが関生支部の闘いである。そのことを声を大にして訴えていかなければならない。それ自身が関生弾圧を粉砕していく重要な闘いなのだ。(多賀)