沖縄防衛局

12月28日、国が県に代わって設計変更の許可を防衛省に通達し、1月12日から着工の見通しと報道されたが、まだ県との間では着工に関する事前協議が残されていた。事前協議は、仲井真元知事が辺野古埋立てを認めた際の附帯事項だった。そのため事前協議なしには12日着工はできないはずだった。

高裁付言はどうなった

年が明けるや防衛局は、「準備が整ったので9日から着工する」と言う。12日ではなく9日。軟弱地盤に7万1千本の砂杭を打ち込む。深さ90メートルのところは、固い粘土質と推定されるが、70メートルの砂杭で済まそうとする難工事だ。防衛局は焦っている。
代執行裁判の際、国寄りの判決を出した福岡高裁の「付言」はどうなったの? 判決文の付言には「沖縄の歴史的経緯を踏まえ、県民の心情に寄り添った政策実現が求められており、そのためには国と県が対話を重ねることを通じて、抜本的解決の図られることが強く望まれている」とあったではないか。

ゲート 海上 あわ安和 塩川

7日は、オリバー・ストーン監督ら世界の識者400人の「辺野古ノー」の声明が新聞に載り、8日からゲート前、海上、安和、塩川でいつもの阻止行動、抗議行動が行われ、9日東京では首相官邸前で20人が集まり、「不当な代執行をやめろ。沖縄をどれだけ犠牲にするのか」と抗議した(琉球新報)。
10日は、ガマフヤーの具志堅さんたちが県庁前の県民広場でハンガーストライキを始め、日本自然保護協会の中止を求める声明が出されている。12日、オール沖縄の県民集会だった。平日で労組などの参加がなくてもゲート前には900人が集まった。海上では抗議船4隻やカヌー12艇が大浦湾埋立て作業ヤード近くで抗議し、カヌーはフロートを越えた。東京の官邸前では250人が「沖縄の自治権を踏みにじるな」と抗議した。
国の代執行が決まったとき、市民は今後の展望を探し学習会を開き、講演を聞きに行った。玉城知事の与党県議には、「コアな市民だけの闘いになるのでは」と先行きを心配する声もあった。

今後も「手続」に対抗

今後の展望は「知らない」。でも、闘いはある。琉球大の徳田教授は、「公有水面埋立法に基づく権限をすべて失ったわけではない。奪われた権限は限定的」と軟弱地盤の改良工事には難航が予想され、今後も複数回の設計変更が見込まれる」「新たな設計変更申請に対し、知事権限は従来通り行使できる」と行き先を灯(とも)した。
12月29日付「沖縄タイムス」に、知事は「今後の全ての工事に承認手続を経ることなく進めることにはならない」と想定している。「その都度、公有水面埋立法に沿って申請が適正かを厳正に審査する」と、私たちを励ますかのように言った。
「プラハの春」が弾圧されたとき(1968年)、マルタ・クビショヴァーはビートルズの「ヘイ・ジュード」をカバーし、こう歌った。
♪ねえ ジュード あなたは知っている
口がヒリヒリ 石をかむようつらさを
あなたの口から きれいに聞こえてくる歌は
不幸の裏にある「真実」を教えてくれる♪
(富樫 守)