
1月1日の能登半島西沖を震源とする最大マグニチュード7・6、震度7の大地震による死者は222人(15日現在)に上っている。
16日の時点で、いまだに多くの孤立地域が存在し、高齢者を中心に体調を崩す人が続出している。にもかかわらず、幹線道路復旧のプランすら確定しておらず、早くも能登震災は「人災」の色合いが日に日に濃くなっている。
石川県志賀町にある北陸電力志賀原発(運転停止中)は、地震によって変圧器が故障し、外部電源の一部が使えなくなり、絶縁や冷却のための油が漏れ出した。志賀原発の直下や周辺には活動断層の存在が確認されており、今回の地震で1号機、2号機とも想定を超える揺れを観測した。北陸電力が規制委員会に提出した資料では、活断層を最大96キロと想定していたが、今回の震源域は想定をはるかに超える東西150キロにもおよぶ。もしも原発が稼働していたら過酷事故の可能性もあった。
政府は稼働中の原発は直ちに運転を停止させ、「原発ゼロ」政策に回帰すべきだ。
岸田政権の震災対応への遅さも問題だ。また震災支援策を政府から引き出す先頭に立つべき、馳浩石川県知事が岸田首相よりも動きが鈍い。
こうした政府の対応を擁護するかのように、「20年後に消滅する地域に多額の税金を投入すべきか」(山本一郎/投資家・作家)というとんでもない主張が登場している。まさに地方切り捨て、弱者切り捨ての新自由主義の論理だが、こうした政治が自民党政権の下で大手を振ってまかり通ってきたのだ。
政府は何をおいても被災者のために復旧工事に全力をあげるべきだ。例えば、その妨げとなることが明らかな大阪万博開催に固執するなど断じて許されない。全力で被災者を支えよう。そして弱者を切り捨てる政治を変えよう。
