
この本は、日下部雅喜さん(大阪社会保障推進協議会介護保健対策委員長)の講演会のとき会場で求めた。22年11月に開かれた市民シンポジウム(大阪)をまとめたもの。その時点で大阪のコロナ死者数は、100万人あたりの752・9人で全国トップだった。
医療・保健所・介護・保育・障がい福祉の現場でコロナ禍に立ち向かった人たちが、現場の目線から大阪府政や各自治体の対応を検証し、第8波以降に必要な対策を問題提起している。感染症法上は、2023年5月8日からコロナ感染症は2類からインフルエンザ相当の5類に引き下げられたが、コロナ禍における行政対応に対する「中間総括」の意味を持っていると思う。
介護ヘルパーで働く私としては、日下部さんから報告されている「コロナ感染した要介護者が、『ヘルパーを受けている人』は宿泊療養施設に入れない」と断られ放置されていく話に、当時の激闘を思い出し感情がよみがえった。全体の内容については、コーディネーターをつとめた井上美佐さんのまとめ。以下に概要を紹介する。(小柳太郎/介護ヘルパー)
災害級の状態だ!
―どの現場からも「災害級の状態だ」という指摘があった。医療現場からは、初期にはマスクや防護服など医療資材の不足が問題に。第3波、第4波の頃にはベッドが不足し、なかなか入院できないような状況が続いた。重症者が増えてくると、自宅療養の患者さんがなかなか入院できない。死亡率が上がってきた。
家族の患者さんが増え、病院スタッフの感染も起きてくる。オミクロン株でも重症の度合いが軽くなったとはいえ、医療現場や病院でクラスターが発生。通常診療に影響を及ぼしている。
睡眠時間削り過酷労働
――保健所では、保健師が想像を絶するオーバーワークを強いられ、睡眠時間を削って精神的、肉体的に縛られるような状態に、使命感に支えられ活動していた。頭が下がる思いだった。
大阪府のフォローアップセンターが十分に機能しなかったという話も、自分も実感しており、話を聞き「そうだったか」と確信した。
自宅死亡者の増加
―介護現場からは、保健所の逼迫によって医療機関へのアクセスなどが遅れ、自宅療養を余儀なくされる例が増えた。そのため、自宅死亡者が増えたという問題が。とりわけ要介護の人、高齢でスマホも使えない人は、大阪府の「自宅待機SОS」は全く機能していなかったという。大阪府は第6波で介護の療養施設を作ったが、寝たきり以外の人はなかなか入れないというように、条件が非常に厳しかった。
入院基準も厳しく設定され、なかなか入れない。「徘徊患者」を警察が保護することもままならないという状況も報告があった。
保育、介護を止めない
―保育の現場。幼児を相手だとどうしても密にならざるを得ない。「保育を止めない」という理念により、保育者の感染予防、保護者へ情報提供、各種行事の実施に数々の工夫がされた。マスク対応が幼児の成長にも影響を及ぼす可能性があるということも、非常に悩ましかった。自治体間の格差にあまり触れずに任せたことにより、格差がさらに広がったという点も指摘された。
障がいの現場からは、障がい者が基礎疾患があるのになかなか自分の感染対策ができない。利用者が自身の感染対策ができない中、介護をしなければならない。入院がなかなかできない、福祉職員が介護しなければならない。それらが非常に負担になっていた。
22年ころは、重症患者でも搬送を拒否され、一般の福祉職が防護服を着て医療介護をするという、本当に慣れないこともせざるを得ない状況だった。
