教員数が足りない。定数不足で授業のやりくりに困るなどの話題も注目を集めている。教職員組合(日教組)の調査では、2023年10月の時点で小学校1611人、中学校で765人、特別支援および高校を含めると、全国の公立学校で合計3075人の不足が報告されている。理由は、2カ月を超える病休510名、産休・育休441人、途中退職110人など。単純計算で1割の学校で教員不足となっており、職場の多忙化に拍車がかかる。(注)
以前は講師登録者数が十分にあり、年度途中の病休や退職者数も現在ほどではなかったため、欠員の発生は少なかった。
最近は登録者数が減少の一途をたどり、充当が困難となっている。これまで講師登録者の多くは、県・市の教員採用試験に不合格になり翌年も受験するという人たちだった。ここ最近は学校現場の多忙化や「ブラック職場」などと敬遠されてか、教員採用試験の低倍率化に歯止めがかからず、講師の登録者数自体が著しく減少している。
私の職場(中学校)でも過去10年間に3度の欠員を経験した。いずれも精神的ストレスによる長期療養者、そのうち1人は職場復帰できずに退職することになった。欠員が起こると学校はどのような事態となるか。学級担任を学年主任が兼任し、部活動では他の部の副顧問がスライドした。その人が担当していた教科は、途中から学年や担当クラスが変わり、そのため時間割も年度途中で変更することになった。
部活動の顧問や学級担任を年度途中から交代するのは、誰もが尻込みする事案であり、引き受ける人の苦労は計り知れない。それがわかっているから、体調不良の人が「安易に休めない」と思い無理をする。無理を重ねているうちに、再起が危ぶまれるほどの長期療養となった例も多い。
教員不足に陥った学校は日頃の超過勤務に加え、さらに混乱と疲弊が続き。仲間内で支えあう余裕さえ喪失する。それでも、「子どもたちのため」と孤軍奮闘、頑張ってしまう教員たち。学校現場をこんな環境にしてしまったのは、誰なのか。
統一教会との関係を追及され、二転三転の言い訳に終始する盛山正仁・文科大臣。岸田政権には、軍事費大幅アップではなく教育予算増こそが求められている。(安芸一夫)
(注)正規教員あるいはフルタイムの臨時教員の代わりに短時間勤務の代替教員が配置される場合が少なくない。これを「配置済み」とするか「未配置」とするかで人数は異なる。1~2割の小中公立校で教員不足となっているのが現状と推測される。