
「身を切る改革」とやらは大阪だけではない。
公務員が多すぎるからと住民サービスが縮小される中、幹部職員は別として、自治体の正規職員が人件費の安い非正規雇用(ほとんど女性)に置き換えられているのは日本全国でどこでも見られる傾向だ。こうすると賃金は正規職の3分の1から2分の1ですむ。
そして2020年度に導入された会計年度任用職員制度(任期は1年)が非正規職員を追撃した。「真面目に働いたら何とか食べていける」「結婚も出産も諦めたが、自分一人なら何とか生きていける」と考えていた非正規職員たちは「それさえ無理」という現実にたたき込まれた。「来年の契約が打ち切られるのでは」とビクビクして働くしかない。実際、「契約の打切り」などは各所で行われ珍しくない。
困窮した市民の生活保護相談の公務に従事している非正規職員が、実は相談者よりも厳しい生活で「明日がない」事態に追い詰められているという「笑えぬ現実」も報告されている。明日の我が身が知れない者が相談業務に真剣になれるのか。それは双方にとってあまりにも不幸ではないか。
これが新自由主義とやらか? この30年の「なれの果て」か? この未来が描けぬ砂を噛むような世界! 「階級」だとか「階層」だとかはもうピンとこない。「身分差別」を感じる。
最後に素朴な疑問に答えてほしい。公務員に限らず、「正規雇用を非正規雇用女性労働者に置き換える」流れについては前述したが、この流れからも排除される存在があるのでは?
つまり、女性ではないという理由で置き換える対象から排除されるであろう男性失業者だ。その数は100万人を超えている。彼らに行き場はあるのか。この期に及んでもまだ女性の不幸に無関心な男がいたら私はこう忠告する。「君たちに明日はない」と。(当間弓子)
