
「モリ・カケ・サクラ」という言葉を覚えておいでだろうか。言うまでもなく森友学園、加計学園、桜を見る会をめぐる一連の政治スキャンダルのことだ。いずれも時の政権が吹き飛んでもおかしくない事件だったが、訴追されたのは事件に安倍晋三・昭恵夫妻が関与していたことを証言した籠池泰典・諄子夫妻だけだった。二人は実刑判決を受け現在服役中だ▼そして今回の自民党の裏金問題。安倍派は20年前から続けていたという。果してこれが民主主義国家なのか。もはや真面目に怒る気にもなれないという向きもおられるだろう。▼民主主義にとって選挙は必要条件かもしれないが、十分条件ではない。世間では「独裁国家」と呼ばれる中国やロシアでも選挙は行われている。大事なのは代表を選ぶことではない。自分の生き方は自分が決める。これが民主主義の基本だと思う▼その観点で人びとが自分たちの周囲を見直していけば、政治状況を変革するための手掛かりが得られるはずだ。(恭)
