事務所前に立ちはだかる警官ら=2月15日、神戸市

関西合同労働組合とNPО法人長田の事務所(神戸市長田区)に2月15日朝、兵庫県警公安三課13名が押しかけ、不当きわまる家宅捜索を行った。Nさんの「免状住所の不実記載」(注)というのが口実だった。
Nさんは大阪府内に住所があり、家族がいる。阪神大震災の時に甚大な被害を受けた神戸・長田区に救援・支援に入った。その後、焼け出され倒産したケミカルシューズ工場の裁断・ミシン・貼り工さんたちが立ち上げた、労働者企業組合(ナースシューズ製造)の営業や運営を手伝ってきた。現在はヘルパーとして働きながら、NPО長田のミニデイサービス事業を続けている。業務の都合で大阪府内の自宅には週1、2回帰宅し、それ以外の日は神戸の事務所に泊まり込んでいた。
それが「不実記載」なら、単身赴任者や国会議員は全て該当することになる。今回の不当捜索は明らかに労働組合運動とNPО活動への弾圧であり、絶対に許されない。現場に立ち会った組合役員が捜索中の警察官に「議員宿舎に住む政治家、長期出向者、自宅外通学生など全員家宅捜索をするのか」と追及すると、苦笑いをするだけで何も答えることができなかった。令状を発布した裁判官の見識を疑う。まるで警察の言いなりである。
2月19日、春闘行動に合わせ兵庫県警本部に異議申し立て請願書を突き付けた。兵庫県弁護士会は免状不実記載を口実とする強制捜索等は、「公安調査活動目的であり、令状主義を潜脱する行為」とする警告書(06年)を出している。
「裁判所が違法としたわけではない」と居直る警察官に、「弁護士会の正式な警告を無視するのか」と抗議すると沈黙し、抗議文を受け取った。「不当捜索の謝罪と今後繰り返さないことを確約せよ」と求めたが、「適正な対応に則った捜索であり、回答しません」と電話で連絡してきた。
大阪、京都、滋賀、和歌山では、連帯ユニオン関生支部の産別労働運動への不当な刑事弾圧が続いている。裁判官は労働法の刑事免責や民事免責の認識が欠如している。2月29日には神戸地裁令状部に、今回の不当捜索に対し異議申し立てを行った。
警察、検察の無法な弾圧と戦争準備は一体である。戦前のような暗黒社会を再来させてはならない。関西合同労働組合は、働く仲間、友誼労組とともに労働運動、市民運動への不当な弾圧と闘いぬく。(石田勝啓/関西合同労働組合副委員長)
(注)「免状不実記載」とは、「公務員に対し虚偽の申立てを行い、免許証、鑑札、旅券などに不実の記載をさせること」(刑法157条2項)。