裁判所正面入口前の公園に集まった支援者たち=3月1日、大阪市北区

2011年3月11日の原発震災を経験し避難してきた人たちが、「被曝から逃れる権利」「原発事故は国の責任」「裁判長は勇気をもって判断を」と訴えた原発賠償京都訴訟の第21回期日が、3月1日、大阪高裁で開かれた。裁判は次回5月22日で結審する。
原発事故での国の責任を認めなかった2022年6月17日の最高裁判決以後、それに追随した不当判決が続くなか、「この流れを京都で止める」という決意のみなぎる裁判闘争となった。
原告と支援者たちは開廷前に裁判所の公園で集会を開き、風船やプラカードを持って裁判所を一周するパレードを行い、「避難区域の内と外 どちらも国内避難民」「認めて避難の権利 子どもの未来を守ろう」「最高裁の不当判決覆そう」というコールを裁判所に響き渡らせた。
法廷はほぼ満席。原告側の弁護人2人が準備書面に沿ってそれぞれ陳述を行った。

安全基準を逸脱

一つは、2006年に原子力・安全保安院(当時)などが立ち上げた「溢水(いっすい)勉強会」にかんする一審準備書面補足である。「勉強会」を立ち上げる前の段階では、国は電力会社に津波に対するAM(Accident Management 過酷事故に備える対策)を講じさせる方針であった。ところが東京電力が「勉強会」に加わり、その方針が変えられてしまったのである。当初方針通りであれば事故は回避できた。IAEA(国際原子力機関)セイフティスタンダードを逸脱した状態を放置することは、津波の予見可能性に関係なく「国賠法上の違法性を有する行為である」と主張した。