アレン・ネルソンさん

2月、沖縄に出かけました。「ここは日本か」と疑うような光景が広がっていました。嘉手納町では軍用機が縦横無尽に轟音をとどろかせ、アクロバットのような飛行を繰り返しています。
あちこちに広大な米軍基地が広がり、そこは日本の施政権は及びません。そういう場所があちこちにある。この国はどうなっているのか、本当に情けない。しかも、沖縄の苦難、悲鳴は「本土」では聞こえない、聞かないふりで過ごせています。嘉手納や普天間などの現状は、ほとんど話題にものぼりません。なんということでしょうか。
沖縄がどんなに大変でも「本土」での報道は、無きに等しい。ヤマトンチューの底流に「植民地、辺境(あるいは単なる観光地)」という意識が敷かれているからでしょう。
今年、1月10日から大浦湾の埋立てが沖縄県の意向に反し「国の代執行」により強行されました。本土と沖縄の建設会社の共同体が、総計640億円余で請け負っておこなっています。県民の意思(県民投票は72%が反対)や安心、安全はまったく無視されています。
人殺しの訓練ばかり受け、それが当たり前と思っていた、元アメリカ軍海兵隊員のアレン・ネルソンさん(写真)が言っています。「わがアメリカこそ、国際テロの帝王」「ヨーロッパからアメリカ大陸へ植民してきた白人は最初に女性、子ども、老人を問わず先住民を大量に虐殺した」「ベトナム戦争の時、沖縄で徹底的に人殺し訓練をした」「街に出て暴行しても、上官は『戦場で使いものになる』と喜ぶ」のだそう。
ベトナム人は「グークス(汚いもの)」、イラク人は「砂漠のサル」、(戦争中の)日本人への「ジャップ、ラッツ(野ねずみ)」と同じ…。「ベトナムで村の壕に飛び込んだとき、逃げ遅れ壕の中で赤ん坊を産んでいる女性がいた。両足の間に赤ちゃんが見えた」「思わず手を差し出し、私の手に赤ん坊が生まれ落ちた。そのとき、私は(自分を人殺しだと思い)生まれ変わっていた」と言います。
沖縄、うるま市には米軍基地が7カ所、自衛隊基地もあります。弾薬庫もある嘉手納、天願桟橋、貯油施設、キャンプ・コートニー、キャンプ・マクトリアス、ホワイトビーチ、津堅島訓練場、海自沖縄基地隊・送信所、浮原島訓練場、陸自勝連分屯地。こんなにも軍事基地があるのに、さらに20ヘクタールのゴルフ場跡地に、陸自訓練場を造ろうとしています。地元の住民、自治体は白紙撤回を求めています。
戦争準備を進める岸田政権は「お金の問題」からのらりくらり逃げながら、アメリカの戦争に一体になろうとしています。しっかり抗議し、声をあげたい。(石川豊子)