神戸市役所

「覚えていない」「うすうす思い出してきた」「(統一教会関連団体からの)選挙推薦状を…よく読むことなくサインしたかもしれない」。統一教会との関係を聞かれた盛山文科相の国会答弁である。「よく覚えていない」という、あきれるほどの答弁だ。
安倍元総理への銃撃事件以降、政治家と統一教会関連団体(以下、統一教会)との関係や選挙で支援を受けることへの批判が高まり、地方議会・議員、自治体にも類似の関係があったことなど問題が広がった。その後、富山市議会や富田林市議会、大阪市会、北九州市議会で「統一教会との関係を絶つ」旨の決議が採択されてきた。
神戸市でも市会議員の紹介により市職員が教団行事に参加したり、(教団から)寄附を受けたりしたことが報道された。これに対し、市民グループで話し合い「統一教会問題対策市民会議」を立ち上げ、「兵庫県会、神戸市会に旧統一教会と絶縁を求める」署名運動を実施。短期間に1407筆が寄せられた。
その後、3月議会にむけ「旧統一教会(関連団体)と関わらない市政を実現する陳情を行う」と進めた。陳情趣旨は、「政治家や行政と(統一教会と)の関係が問題視されてきている」「宗教団体を隠れみのに反社会的行為を繰り返す中、教団が選挙支援や寄附などによって政治家や行政との関係を見せ、その活動の正当化や信頼醸成に利用してきたことも明らかになった」「今後、神戸市会においては(行政も含め)教団との関係を一切絶つこと」など。陳情事項は「…議会(議員)は、旧統一教会及び関連団体とは一切関係を絶つ決議を行うこと」とした。
提出に先立ち各会派に要請を行ったところ、市長与党の自民、公明が陳情趣旨の変更、削除を求めてきた。市民会議では「陳情を受ける側が、趣旨を書き換えるとは…」「公明は、学会とのつながりを正当化する文面にしたいのだろう…」などの意見が交わされたが、「陳情事項は明記されている。採択が第一。口頭陳述で突っ込めば」とせざるを得なかった。
陳情書は3月19日の総務財政常任委員会に諮られ、市民会議代表が口頭陳述を行った後、審議された。自民、公明、こうべ未来の与党会派(無所属1人)が「打切り」、他の野党会派が「採択」の意見を述べ、結果は「打切り」となった。
打切りとした会派は「議員個々が対応する問題であり…決議をあげる問題でない」(自民)、「決議は全会一致であり、そうであるなら打ち切るべき」(公明)という言い分だった。
政令市などでは与党会派の壁は厚い。市民の声を表明し、届けることができただろうか。(竹田)