
カヌーチームの二人の報告会。私は司会として、あいさつ。「昨年末、代執行裁判で大浦湾の埋立てが焦点化しました。しかし、年が明けると自民党の裏金問題。大浦湾のことが報道されなくなった。今、大浦湾で何が行われているのか、大浦湾にくる埋立て土砂の運搬船にカヌーを漕(こ)ぎつけ、阻止行動をしているカヌーメンバーの鈴木さん、千葉さんに現状を話してもらいます」。
その後、鈴木公子さん、千葉和夫さんが映像も使って説明した。二人の説明がどのようだったか、開催の準備をした一人は次のように話していた。(3面に鈴木公子さんの要旨)
―「たたかい」の話は、得てして威勢のいい話になりがちですが、お二人とも「辺野古、大浦湾で起こっていること、何が問題なのか。カヌーチームは、どのような行動をしているのか。国や海上保安庁は何をやっているか」が、よく伝わるお話でした。本土の私たちは、何ができるのかも考えさせられました。
会場からも、「映像を流しながら説明され、現場の緊迫感が伝わってきた」という感想があった。
千葉さんは、海保を告訴するに至った映像を示しながら話した。「フロートの外でカヌーを係留していただけで、海保に指を逆に曲げられる暴力を受けた」と。それを受け、私も次のエピソードを追加した。
海保の暴力は以前にもあった。当時、尖閣島一帯に配備されている海保たちが、辺野古に配属されてきたといううわさが立った。その状況は、ゲート前に座り込む人たちも知ることとなった。
カヌーを拘束し、出発する浜に連れ戻しにくる海保のゴムボートを浜で市民が待ち受け、怒りの声をあげた。そのため海保ゴムボートは、浜に近づくのを躊躇(ちゅうちょ)し、私たちが「早く解放しろ」と要求すると、浜から離れた沖でカヌーを放した。
海保の暴力にたいし、ゲートで座り込んでいる仲間も一緒に、第11管区海上保安本部に抗議に行ったとき、彼らのうちの「海保太郎」と名乗った一番暴力的な人物の人形を作り、怒りのアピールをした。このような光景も目に入ったのか、海保の暴力はかなり収まった…。
参加者は、会場いっぱいの60人。質問・意見の時間を含め2時間半がたちまち過ぎ、帰りの飛行機便のため、急いで終わらなければならなくなり、私は最後に、次のように話した。
辺野古の問題は、沖縄だけの問題ではなく日本の問題です。昨年暮れ、沖縄県は代執行を巡る判決にたいして上告しましたが、2月29日付けで「上告を受け付けない」という決定が出ました。つまり「門前払い」です。弱い立場の訴えを公平に聞くのが裁判所ではないですか。それが門前払い。千葉さんの件にも、同じことが見られます。
それが裁判所だけにとどまらず、日本の社会全体に広がることを危惧します。その行き着く先、どのような国になるのでしょうか。イジメやパワハラの横行は、そういう兆候ではないでしょうか。辺野古埋立て反対は、このような社会をただすことにもつながります。ともに、たたかいましょう。
後日談。空港には時間通りに着いたが、那覇空港が大雨、落雷のため飛行機の出発が遅れ、結局50分遅れで飛び立った。遅れることが分かっていれば、もう少し会場で話したかったのに…。それにしても渇水が続き、断水も言われる沖縄に、このタイミングで大雨が降るとは!
鈴木さん、千葉さんのトーク集会は、前日30日に西宮でも行われた。(富樫 守)
