
4月10日付の朝日新聞で2024年~26年の政令指定都市・東京23区、計74市区の介護保険料(基準額)が報道されたが、大阪市は月額9249円で断トツの全国第1位だった。
金額最高、施策最低
大阪市が「全国最高の介護サービスを実現しているから、全国最高の保険料は当然」というならまだしも、大阪市の介護政策は全国最低レベルだ。それは21年の大阪市のコロナ感染者100万人あたり死亡数は755・9人で、全国ワースト1という「実績」に端的に示されている。
コロナ感染死亡者の大半は基礎疾患をかかえる高齢者や障がい者だった。言い換えれば、介護を必要とする高齢者と障がい者への施策がストレートに反映する(「大阪のコロナ禍3年を検証する」日本機関紙出版センター参照)。
全国最悪の高齢者施策を行いながら、月額9249円をむしりとる。ぼったくりとしか言いようがない。
東京23区より高い
介護保険料には地域区分制度があり、東京23区が「1級地」で、同じサービスでも「級地指定なし」のところより20%が上乗せされる。大阪市は「2級地」で16%の上乗せである。
そうすると、大阪市の方が安くなるはずなのに東京23区よりも大阪市が月額2300円以上も高いのだ。これは明らかに問題がある。
大阪市の介護保険課は、今回の保険料増額について「一人暮らしの高齢者の多さ」を理由としてあげている。それは東京でも同じだ。例えば板橋区は公営団地がひしめき、独居高齢者が多いが、月額6520円だ。これでも高すぎると思うが、大阪市はそれ以上だ。
万博負担一人2・7万円
今回の介護保険料値上げには、万博強行も影響している。横山英幸・大阪市長は8日、「大阪市民一人あたりの万博負担2万7千円」という試算結果に、「単純に人口で割り戻した数値であり、決して追加で市民税が上がるとか、追加の納税通知書がいくわけではない」と説明した。だが、増税ではなく介護保険料値上げで「万博赤字」を補填しているのでは、と疑う理由は十分ある。
大阪市は「介護給付費準備基金」として積み上げてきた約80億円を全額使い切っても足りないことを理由に、今回の値上げを居直っている。その一方で大阪万博の大屋根リングに350億円も投入している。削れるところはいくらでもある。
維新の「身を切る改革」とは、「庶民に身を切らせる改革」だ。(淀川一博)
