
神戸港の中突堤近くの国道沿いに「神戸港平和の碑」がある。アジア・太平洋戦争期に、神戸港で労働を強制された朝鮮人・中国人・連合国軍捕虜の歴史を刻む。神戸港における戦時下朝鮮人・中国人強制連行を調査する会は毎年4月、「神戸港平和の碑の集い」を開く。今年は4月13日に碑前の小集会と学習会(神戸華僑歴史博物館)が行われた。
学習会の講師は田村佳子さん(PОW研究会)。戦時中、日本国内には100カ所以上の連合国軍捕虜収容所が設置され、神戸にもあった。戦時捕虜(POW)の実態はこれまであまり知られていない。劣悪な環境と強制労働の日々 … 。神戸空襲の際は、燃えさかる火の中で捕虜たちがバケツリレーで消火活動に。彼らは市民とともに、「フランシスコ・ザビエルの肖像原画」など、多くの文化財を焼失から守った。
田村さんによれば、02年に発足したPОW研究会は、日本と捕虜に関する数少ない歴史資料が散逸し、忘れ去られようとしていることを危惧。記録を後世に残すために、資料収集や、当時を覚えている人と再訪した元捕虜からの聞き取りを行ってきた。
「ウクライナとガザの戦争が始まり、〝戦争と捕虜の問題〟は過去のことではなく現在のことであると突きつけられた」と話す田村さん。「世の中は平和であると思って育ってきた私たちは、この現実をどう受け止め、どう行動していけば良いのか」と問いかけた。
