大阪城パークマネジメント株式会社が管理・運営するJO-TERRACE

いま各地で民間業者に公園の運営を委託し、行政の負担を軽減する「パークマネジメント事業(PMO)」が広がっている。「稼ぐ公園」を掲げる大阪市の大阪城公園パークマネジメント事業では、公園内の劇場施設や商業施設建設のために3年間で12000本の樹木が伐採された。「市民憩いの場が金もうけの道具にされている」問題を、市に情報公開を請求して明らかにした甲南大学の谷口るり子教授が、大阪市内のイベントで講演した。(4月13日、大阪の未来をつくる市民ネットワーク主催)
「稼ぐ公園」は本当に市民の利益になっているのか。この疑問を谷口さんは数字で検証した。
結論を先回りして言えば、大阪城公園は、天守閣と駐車場だけで十分稼いでいる。これは大阪市が運営しても、PMO事業者が運営しても変わりがない。ところが「大阪市における公共資産の民間開放」という名目で、民間業者に差し出して、ボロ儲けさせているのだ。
例えば、オープン予定の豊臣秀吉時代の石垣を展示する施設。この「特別史跡大阪城跡 豊臣期石垣公開事業」には、市の公金9・4億円が支出される。それに伴って、天守閣の入場料は25年の春から倍の1200円になるが、その収益はPMO業者の懐に入るという。

市民が6・3億円の損

大阪城公園PMOでは、事業者は年2・26~2・6億円の固定納付金と事業収益の7%を変動納付金として大阪市に還元することになっている。
筆者が大阪市の資料を調べたところ、22年度の固定納付金は2・6億円、変動納付金は0・19億円、あわせて2・79億円を大阪市に還元した。天守閣の収益は5・9億円、駐車場は3・2億円で、この二つだけで9・1億円の収益があった。
この9・1億円は本来、大阪市の収益になるはずだった。つまり大阪市民は9・1億円から2・79億円を差し引いた、6・3億円以上も損をしたのである。
これは大阪城公園だけの話ではない。長居公園、八幡屋公園、スポーツセンターなどもPMOの対象になっている。最初に述べたようにPMOは国の方針として行われており、全国各地で同じようなことが行われている。
全国の読者のみなさん、周りで見たり聞いたりしたことを投稿してください。(堀ちえこ)