再会の日     
         渡辺信雄
 見上げた空に
 純白の辛夷(コブシ)の花は
 待っていてくれた。
 いつもなら散っている季節
 かつて幾万の人の
 こぶしがにぎられて空へ浮かんだ
 幾時代か過ぎて 空の花。
 精一杯咲いていた
 天から私たちを見守るように。
 花と出会い 人と出会う
 憂いはらわれ
 今日を生きる。