6月15日、大阪で、RAWA(アフガニスタン女性革命協会)の女性を招いて屋内集会が開かれた。これは「RAWAと連帯する会 20周年記念スピーキングツアーin Japan」の一環だ。広島からスタートし京都を経て三日目が大阪。名古屋、長野、室蘭、札幌、東京と続く。主催者は「RAWAと連帯する会」。
RAWAとは、アフガニスタン女性革命協会の略称(Revolutionary Association of Women of Afghanistan)。通訳は清末愛砂(きよすえあいさ)さん。
最初にRAWAの活動を紹介する動画が上映された。そこで映し出された若い女性が、創設者のミーナー(1956-87)さんだ。カーブル大学の学生だった。女性への抑圧が強い社会の中で、結成当初から政教分離・民主主義・平等・女性の人権等を目的とした活動を行ってきた。ミーナーさんは暗殺されたが、RAWAはその遺志を引き継いで活動を継続している。
今回来日したシャミールさん(仮名)はRAWAの中心メンバーの一人。自身の生い立ち、アフガニスタンに生きる女性たちが学ぶ権利を奪われてきたこと、タリバーン政権の女性嫌悪や差別政策などについて話した。
2021年8月から始まったタリバーンの再支配下で導入された女性抑圧政策は、次のようなものだ。
女子の中学校以上の就学無期限停止、女子大学生の登校停止、女性の大幅な就労制限、女子学生の大学入試統一試験の受験禁止、女性公務員の一部を除く出勤停止(給料の一部は支払われている)、女性の公衆浴場禁止、女性の公園やスポーツジムの使用禁止、美容室閉鎖、女性の遠出にたいするマハラム同伴(マハラムとはイスラーム法上、婚姻が認められない男性親族)、そして女性だけのタクシー乗車の禁止。シャミールさんはこの状態を「刑務所のようだ」と告発した。
アフガニスタンでは、アメリカの軍事介入によって、2001年から21年にかけて、多くの人命が奪われ、590万人が故郷を追われて難民となった。アメリカは「女性の人権のため」と称して軍事介入を正当化してきたが、「それは植民地主義的、あるいは帝国主義的な考えによるものだ」とシャミールさんは言う。
その結果、タリバーンが復権し第2次タリバーン政権が始まった。前政権時代も女性の状況は決して良いものではなかったが、現在はタリバーンのメンバーとの強制婚など、婚姻や個人の自由にたいする制限が広がっている。
政権復帰から3年、タリバーンの圧力によって教育の内容が宗教的なものになった。学校にはタリバーンが雇ったスタッフが配置されている。そして人びとにたいする束縛、報道や抗議に対する弾圧が続いている。

識字や秘密の学校

RAWAは識字教育や秘密の学校を開校し、女性の教育に最も力を入れている。教育を受け、自分たちの能力や自分たちが持っている権利を学んだ女性を打ち負かすことは、誰にもできないからだ。そこに参加する女性たちのストーリーがRAWAの次の活動の動機づけになっている。
また、女性が独立してサフランを栽培、加工、販売するサフラン・プロジェクト。女性と子どもたちのための移動クリニック。必要としている人びとに物資をわたすといった人道支援活動にも取り組んでいる。
また集会の開催、ウェブサイトの開設、機関誌の発行などを通して、内外の政治問題を分析・解説し、声明を出すなどしている。さらに人びとの声を社会に行き渡らせるためにメディアへのアプローチも行っている。
RAWAはこれらの活動を通して、原理主義に抗議し、国外からの帝国主義的な影響や間接的な占領にたいして団結してたたかおうと呼びかけている。そして、非常に困難な状況下にあっても、人びとに寄り添うためにアフガニスタンに残るという決意をしている。闘争こそが社会を変える唯一の解決であると考えるからだ。
最後に、シャミールさんは、RAWAと連帯する会の支援への謝意を表して、講演をしめくくった。(池内潤子)