大阪港湾局は7月3日、夢洲カジノ(IR)の建設予定地の土地鑑定評価をめぐり、「不存在」としてきた不動産鑑定業者とやりとりしたメール198通などが見つかったことを明らかにした。鑑定評価はカジノ用地の賃料を決めるのに必要な手続き。決められた賃料が著しく安いため、今年4月、市に賃貸借契約の差し止めを求める訴訟が起こされていた。鑑定評価では依頼された4社のうち3社の評価額が一致。通常では考えられないため、市の関与が疑われている。公開したメールの中に、1社の業者名と担当者名が記されたものを他の3社に送信したものがあった。
「カジノ問題を考える大阪ネットワーク」代表で、阪南大学の桜田照雄教授はオンライン学習会で「この4月、国交省はIR整備計画を認定したが、これは書類が要求基準を満たしているかどうかを判断しただけで、法的な効力を持つ認可とは違う」と話した。
認定の取り消しはカジノ実施法である特定複合環境施設区域整備法第35条で「基本方針に適合しなくなったとき取り消すことができる」と決められている。今後基本協定書がオリックス=MGMと大阪府の間で交わされるが、最大の問題点は事業者側に一方的に有利な片務契約であることだ。1平米当たり月額428円、年額5136円という著しく安い賃料が設定されている。桜田教授は「これを徹底的に追及していけば、カジノを止められる」と強調した。