
使用済み核燃料は各原発のプール(写真)に貯蔵されているが、貯蔵率が上限に近づいている。プールが満杯になると原発の運転はできない。
そこで電気事業連合会(電事連)は、「使用済燃料対策推進連絡協議会」を設置し、使用済燃料貯蔵能力拡大に向けて、事業者全体で〈共同での研究開発〉〈理解活動の強化〉〈中間貯蔵施設などの建設・活用の促進〉に向けた検討を実施している。
東京電力HDと日本原子力発電は、「リサイクル燃料貯蔵株式会社(RFS)」のむつ中間貯蔵施設において、20年11月に使用済燃料貯蔵の事業変更許可を取得。中部電力は、15年1月に浜岡原発の敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を申請。九州電力は、20年3月に玄海原子力発電所のリラッキングに係る認可を取得し、21年4月に敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を取得した。四国電力は、20年9月に伊方原発敷地内乾式貯蔵施設の設置変更許可を取得した。燃料の搬出元となる東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)のある柏崎市の桜井雅浩市長が6月26日、青森県庁で宮下宗一郎知事と会談し、理解を求めた。桜井市長は再稼働を目指す7号機の使用済み燃料プールは97%が埋まっていると説明し、「搬出先がなければ再稼働してもすぐに止まってしまう」と主張。
むつ市では核の最終処分地になるのではないかという不安が広がり、新潟県などの市民団体が7月19日、計画の中止を求める要望書を東京電力に提出した。こうした敷地内乾式貯蔵施設や中間貯蔵施設は、あくまで「仮置場」にすぎず、問題の解決にはならない。肝心なのはこれ以上使用済み核燃料を出さないことであり、そのために全原発の運転を停止することだ。
