国際政治分析で用いられるアナロジーに「1914年危機」がある(土山實男『安全保障の国際政治学』)。「将来大国間の戦争が起こるとすれば、第一次大戦型の戦争になる」というものだ。▼1914年当時、ドイツの指導者たちは、「露仏が対独敵意を高めており、露仏との戦争は不可避」と判断していた。しかも、ロシアは数年以内に戦争準備を完了するだろうから、チャンスがあるとしたら今しかない▼叩くなら決定的な攻撃が必要である。そのためにはまずフランスを叩かなければならない。こうしてドイツ軍は、まずベルギーを攻撃してフランスに雪崩れ込んだ▼当時のドイツを、ウクライナに侵攻しているロシアに置き換えてみると類似する点が多い▼第一次大戦が、指導者たちがコントロールを失った結果起った『意図せざる戦争』であったとすれば、「相手の立場に立って考え、相手に考える余裕を与え、事態のコントロールを失うな」という教訓を生かすのは今である。(恭)