
4月にも職員が死亡
兵庫県議会の百条委員会が開かれた7月19日、兵庫県庁前では「斎藤県知事の辞任を求める」行動がとりくまれ、200人の市民が「斎藤知事はやめろ」と声を上げた。亡くなった元県民局長の死を悼む喪章と菊の花も用意され、「百条委員会の設置に反対した維新と公明会派に抗議する」「県民はもっと声をあげよう」「おねだり、パワハラの真相解明を」などスピーチが続いた。
午後の百条委員会傍聴では、亡くなった職員が遺族に託した音声データ(斎藤知事が某町長にワインをおねだり)が公開された。その他の告発文書も正式に採用された。
また優勝パレードへの寄附金をめぐって企業と対応していた職員が、4月に亡くなっていた。
7つの疑惑
元県民局長が指摘した斎藤知事に関する疑惑は以下の通り。①県内企業などに物品の依頼、②職員を怒鳴りつけるなどのパワハラ行為、③産業労働部長を連れて商工会議所などで次期知事選の投票依頼、④副知事や県幹部が知事の政治資金パーティー券購入で商工会議所などに圧力、⑤プロ野球優勝パレードを巡り、県の補助金増を信用金庫に寄附金としてキックバックさせた、⑥公益財団法人理事長にたいして副理事長2人の解任を通告し強いストレスをかけた、⑦2021年の知事選で知人らに斎藤氏への投票を依頼したの7項目。
証言を事前チェック
これらについては今後、見聞したことがあるかを県職員約9700人を対象にアンケート調査を実施。50人ほどの県職員を尋問することを決めた。
また県人事部が証言する職員にたいして、証言の内容を事前に上司の許可を得るよう通知していたことを各会派が厳しく批判。人事部は通知を見直すことになった。
百条委は今後、数回開催し、12月末までに調査を終える方針を決めた。調査のポイントは、公益通報における告発者の法的保護の実態や公益通報委員会の判断を待たずに元県民局長を懲戒処分にした経緯。人事課の調査が適切であったか、元県民局長にたいして「公務員としては失格、ウソ八百」と発言していた斎藤知事の資質などだ。
また元県民局長が「死をもって抗議する」「百条委員会は、最後までやり通してほしい」などのメッセージを残していたことが、百条委にあてた元局長の妻のメールによって明らかにされた。
8月23日に非公開で6人の証人尋問、8月30日には、幹部職員や斎藤知事への尋問が行われる。県職員(約9700人)へのアンケート調査では、開始2日目の8月1日で約3500件の回答。8月14日までに中間報告、9月13日に最終報告をまとめる。(高崎/石田)
