
前回、正義党と進歩党の対立によって、進歩勢力が分裂したと述べましたが、この両党の何が大きなちがいだったのか。
双方とも「ユン・ソンニョル政権を審判する選挙」として総選挙を位置づけていたことでは共通しています。ところが正義党はそれにプラスして「労働と緑、地域分権、差別撤廃」という進歩の価値に力点をおいた。一方、進歩党は力点を「ユン・ソンニョル政権審判」の一点に絞った。その違いだったと思います。
連動制か並立制か
さて総選挙前の最大の争点は、比例代表選挙のやり方で、どのような制度を採用するのかということでした。前回の総選挙から連動型比例代表選挙制が導入されました。これは少数政党が進出しやすくするためのものでしたが、法律上の抜け穴がありました。
この制度では選挙区で100議席以上とるような大政党は、比例議席が事実上ゼロになってしまいます(本紙392号6面参照)。そこで考えたのが、比例選挙だけに立候補する「衛星政党」を作ることでした。衛星政党は選挙区から誰も立候補しませんから、当然選挙区の当選者はゼロです。そうすると比例代表で獲得した議席がそのまま配分されます。
今回の総選挙でも与党国民の力は衛星政党を作るといったわけです。それが嫌ならば、元の並立型に戻そうというのが、国民の力の提案でした。
この提案を受けて民主党内部でも連動制でいくのか、並立制に戻すのかでもめました。9人で構成する民主党の最高委員会では、イ・ジェミョン代表を除く8人は並立型を支持。民主党の最高委員会の9人中8人が、少数政党に配慮するのではなくて、国民の力に勝つために自分たちも比例で議席を取るべきだという考え方だったのです。
「1対1」の対立構図
ところが2月5日、イ代表が記者会見で、「民主党は連動型で比例代表選挙を行う」と発表したため、民主党の指導部はビックリ仰天しました。
私はこのイ代表の決断が、今回の総選挙で民主党が圧勝した大きな理由の一つだと思います。つまり、民主党は「比例では少数政党を当選させる。その代わり選挙区では1対1の対立構図で戦う」ことを選択し、ユン政権VS進歩民主連合勢力という構図を作ることに成功しました。(つづく)
