
兵庫県議会で第6回百条委員会が8月30日に開かれ、斎藤元彦知事の尋問が行われた。100人以上の市民が集まり、30人が傍聴した。ロビーには「知事が居直り続けたらリコール」と訴える人やマスコミのインタビューを受ける人たち。
今回の尋問は斎藤知事のパワハラ問題。出張先の県考古博物館で20メートル歩かされて怒鳴り散らしたという件。知事は「歩かされたことを怒ったのではない」「動線が確保されていなかった」「車止めの理由(遺跡のため通行禁止)を認識していなかった。注意したのは合理的」「当時としては適切だった」と居直った。
万博の「空飛ぶ車」についての協議が2回で済まされたことに「何これ、聞いていない。ソラクルは知事直轄、勝手にやるな!」と、担当職員が知事室に入って来るなり叱責し、排除した件については、総合企画課長から説明を受けているにもかかわらず、「記憶にない」「いちいち覚えていない」と、自己弁護に終始した。
内部告発した元局長の退職を取り消し、停職3カ月の懲戒処分とした件については、「(告発文書)は誹謗(ひぼう)中傷性が高いと認識している。放置すると大きな影響がある。今も(処分は不適切とは)思っていない」と主張した。9月5日、6日にも証人尋問。斎藤知事のほか、文書で疑いが指摘された幹部のうち、先月辞職した元副知事や、体調不良を理由に休んでいる元総務部長、産業労働部長の3人に証人として出席を求める。贈答品を受け取った疑いや、公益通報をめぐる県の対応などの質疑が行われる予定。
また知事の深夜に及ぶSNSでの叱責についても追及があったが、斎藤知事は「仕事に厳しいことが重要だ」と反省なし。「(国の官僚は)すぐに想定問答を入れるなど徹底的に、情報を日常伝えるやり方をたたき込まれる」と「反撃」する場面もあった。他に、職員に机をたたいて怒鳴った件、物を投げつけた件、職員からのアンケート結果についてなどの尋問が続いた。
「ひどい答弁」
全体として、知事の詭弁(きべん)を突き崩す鋭い尋問に欠けていた印象だ。「瞬間湯沸器」と言われる知事が、2時間半の尋問に〝冷静〟に言い逃れていた。時に「不快を与えたのであれば申し訳ない」と〝余裕〟さえちらつかせ、「パワハラかどうかは、百条委員会が判断すること」とまるで他人事(ひとごと)のように答弁した。
知事には職員の人権に配慮し、パワハラの犠牲になった人や亡くなった人に思いを致す姿勢が皆無だ。「霞が関がこういう人格を育ててきたのか」と思わざるを得ない。しかし不十分だったとはいえ知事の「裸の王様」ぶりが全国に知れわたった。傍聴していた高校生は「ひどい答弁ですね」と言っていた。
9月8日、「斎藤知事の辞職を求める緊急県民集会」(14時~兵庫県民会館9階)が開かれた。(石田)
