前号の「おすすめ動画散歩」で紹介した北海道のコンビニチェーン、セイコーマートが実践しているのが「地域残し」▼例えば上渚滑(かみしょこつ)という集落人口900人の過疎地域に出店した。900人の住民もセイコーマートを誘致するために奮闘した▼ここに出店できたのは、物流部門を完全直営化しているからだ。北海道全域に13の物流拠点、1091店舗を結ぶトラックは約240台、ドライバー約300人。1日の総走行距離が約7万キロ(約地球2周分)。この自前の物流網があるから可能だった▼セイコーマートにはプライベートブランドの自社工場も多い。倒産しかかった企業を買収したものだ。かつての「炭鉱の街」羽幌(はぼろ)町のアイス製造工場などが地域経済を支えている▼メロンやカボチャの規格外野菜の食品ロス対策にも取り組んでいる。その一つ「メロン味ソフトクリーム」は年間12億円売上げのヒット商品となった。過疎地でも「地域残し」の視点から可能性が開ける。(た)