
沖縄テレビ放送(OTV)制作の報道スペシャル「続・水どぅ宝」の上映会が大阪市内で開かれた(8月7日、主催:戦争あかん! ロックアクション)。
上映前に有機フッ素化合物(PFAS)汚染について、フリージャーナリストの幸田泉さんが解説。深刻な健康被害をもたらすPFASは、分解されにくく蓄積されやすいため、「永遠の化学物質」と呼ばれる。幸田さんは、「PFASは身の回りにいっぱいある。沖縄だけの話ではない」と前置きして、大阪、兵庫、岡山の事例を紹介した。
大阪の汚染は2012年まで、PFDA(有機フッ素の一種)を製造していたダイキン工業淀川製作所が主因。19年に環境省が行った環境調査で、同製作所近くの井戸水は1855・6ナノグラム(ng)/リットル(L)を検出。全国ワースト1だった。ちなみに環境省が定めた「暫定指針値」は、地下水や水道水などの飲み水で50ng/L(米国は4ng/L)である。
23年9~12月に京都大学が行った大阪府民1000人の血液検査では、中間発表(459人)で28%の人が4種のPFAS合計で20ng/ミリリットル(ml)を超えていた。米国の科学、工学、医学アカデミーのガイドラインでは血中濃度20ng/ml以上は要注意だ。
同じく環境省の調査で兵庫県の明石川のPFAS濃度は105・4ng/L~145・6ng/Lだった。明石川は水道水に使われている。兵庫県議の丸尾牧さんが汚染源を独自に調査したところ、流域にある産業廃棄物最終処分場の排水が流れ込んでいる水路で10万ngのPFASを検出した。23年、丸尾県議が明石市民9人、尼崎市民10人の血液検査を実施したところ4PFASの平均値は26ng/mlで、5人が20ng/mlを超えていた。
岡山県吉備中央町では、山中の野積みされた「使用済み活性炭」からPFDAが流出し、町営の浄水場に混入した。吉備中央水道課は20年に水道水から800ng/Lを検出していたが放置し、水道統計には1ng/L未満と虚偽報告していた。21年には1200ng/L、22年にも1400ng/Lを検出していた。給水エリアの住民は約1000人。そのうち半数程度が流産、肝機能障害、甲状腺疾患など、PFASによってリスクが増大するとされる症状(米国の疫学調査)を抱えていた。
幸田さんはPFASを摂取しないために、①居住自治体に水道水のPFAS検査を実施しているか問い合わせる。現在、環境省が全国調査中だ。②自宅の水道に浄水器を設置する。③身の回りのPFAS使用製品を減らすなどの対策を紹介した。
沖縄の被害の実態
「続・水どぅ宝」は、沖縄のPFAS汚染を追ったドキュメンタリー。在沖米軍基地で使われていた泡消火剤が流出し、成分のPFASが河川や地下水を汚染した。PFASを含んだ泡が川の表面を覆い尽くし、空中を漂う様子に驚がくした。沖縄では低体重児の出生率が高い。子どもの命を守ろうと声を上げ始めた2人の女性に焦点を当て、PFAS汚染とたたかう米国の女性たちや市民団体のたたかいを紹介している。機会があればぜひ見てほしい。(池内潤子)
