イスラエル軍は9月27日、中東レバノンの首都ベイルートを空爆し、イスラム組織ヒズボッラーの最高指導者ハサン・ナスラッラー師を殺害した。この日の攻撃でイスラエル軍は数分間で80発以上の爆弾を投下したと報じており、地下の目標を破壊する「バンカーバスター」(地中貫通弾)も使用されたと見られる。
イスラエルはレバノン各地で通信機器爆破(17、18日)をさせて以降、連日のようにレバノンへの空爆を行っている。ガザやヨルダン川西岸地区に続く無差別攻撃に対して国際的な非難の声が高まっているが、イスラエルのネタニヤフ首相は、戦闘継続の意思を示している。10月1日未明、イスラエル軍はレバノン南部で地上侵攻を開始。レバノンの避難民は100万人に上っている。
29日にはイエメンの港湾都市ボデイダなどの発電所や港を空爆。イスラエルは、首都サナアを含むイエメン西部を支配するアンサール・アッラー(フーシ派)にたいする「報復」と主張している。 ネタニヤフ首相が周辺諸国に対する戦闘を拡大しているのは、国内で高まる政権批判をかわすためだとも言われているが、そもそもイスラエルはその建国(1948年)以来、パレスチナで殺りくと占領を繰り返してきた軍事国家である。こうした軍事国家を承認し、支援を続け、その核武装まで認めてきた先進諸国の責任は重大である。
ガザでのジェノサイドやレバノンへの無差別攻撃を止めるために、イスラエルへの一切の支援を停止すべきだ。中東の平和の実現とは、軍事国家イスラエルへの国際的な承認を取り消し、パレスチナの人びとに奪われた土地を返すことである。誰しも軍事国家と「平和的に共存」することはできない。それはイスラエルの人びとにとっても同様である。(汐崎)