来年度から4年間、中学校で使用される教科書の採択結果が明らかになった。教科書問題を考える堺市民有志の会の大町英三さんが、今回の教科書採択を振り返った(10月6日、戦争あかん! ロックアクション)。
大町さんは今回、「育鵬社」の歴史公民教科書が大阪府下の全ての公立中学校で不採択になったことを「画期的」と評価。あわせて全国の採択状況を報告した。
神話を「史実」とし、教育勅語を礼賛する「令和書籍」のウルトラ右翼教科書が検定に合格する中、「育鵬社」や「自由社」が、「うちは中道だから採択を」と大運動を展開したが、大阪府下では採択に至らず。
全国的に見ると、栃木県大田原市、石川県小松市、加賀市などで育鵬社の教科書が採択された。
東大阪市では、道徳に「働く女性は権限がない。家事と育児はすべて女性がやるべき」とする古い家族観に基づく「日本教科書」が採択された。教育再生首長会議会長の野田義和市長の政治的介入によるものだ。泉佐野市では、「育鵬社教科書が部落差別を正当化している」として、教育委員会あげて採択に反対した。育鵬社は採択率が1%程度から0・1%程度に落ちている。
沖縄・八重山では育鵬社の公民教科書が使われていたが、今回は不採択に。反基地闘争のあるところでは、町長が極右でも、下からの批判と現場教師の頑張りによって、右翼教科書の採択を阻んでいる。粘り強い取組みによって状況を変えることができる。(池内潤子)