
厚生労働省は福祉・介護職員の処遇改善を図るため、2024年2月分から5月分の賃金補助として「福祉・介護職員処遇改善臨時特例交付金」を支給した。私が勤める事業所も申請した。すべては通らなかったが賃金の足しになった。
話はこれで終わらない。10月になって兵庫県から「交付金の内訳について報告書類を提出するよう」と通達(左)がきた。会社の管理者はぶち切れている。県は事業所から申請書を審査した上で交付金を支給しており、データとして各事業所の交付金の内訳を持っているのに、「改めて報告せよ」と言ってきたのだ。二度手間というより、ほとんど嫌がらせである。
ということで、わが管理者はコールセンターに電話をかけた。「うちが申請した金額を県の方で精査され、減額された。金額を決めたのは県なのだから、わざわざこちらから金額の内訳を伝える必要はありますか」。
コールセンターの係員は、「そう言われても、こちらは提出された書類を集約するだけですから…」とマニュアル通りの返答を繰り返すだけ。これが委託業務の問題点だ。現場で問題がおきても委託業者にブロックさせているので、県や厚労省は素知らぬ顔だ。結局、管理者の方がぶち切れて電話を切ることになる。
無駄な書類の一掃を
その他にも、いわゆる「無駄な書類」には事欠かない。例えば、介護スタッフに対して毎月研修を実施することが義務づけられている。当然、国や県や市などが研修資料のひな型をつくり、ウェブなどで公開しているだろうと思いきや、どこもやっていない。そのため、それぞれ事業所で毎月資料を作ることになり、管理者やサービス提供責任者が時間をとられている。こうした「無駄な書類」の一掃も、労働条件改善として重要だ。(小柳太郎/介護ヘルパー)
