プロコフィエフ(左)とその家族

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今回は戦争に翻弄されたウクライナ出身の天才作曲家、プロコフィエフ。彼が作曲した『ピーターと狼』は、日本でも音楽教材としてよく知られています。初演は1936年5月2日。有名なキーロフ暗殺事件が1934年12月なので、すでに粛清の時代は始まっていました。1936年は、プロコフィエフがスペイン人のパートナー、リーナおよび2人の子どもとともにソ連に居を構えた年であり、この曲からは当時の幸福感が伝わってきます。
しかし、第二次大戦後にプロコフィエフは悲劇にみまわれます。ソ連の秘密警察(KGB)はプロコフィエフの夫婦関係に干渉。スペイン人であるリーナとの結婚を「無効」とし、リーナを「スパイ」として逮捕、強制労働(判決は20年)に送り込みました。プロコフィエフはショスタコーヴィチら他の音楽家ともども、秘密警察の監視下におかれます。
プロコフィエフの命日は、奇しくもスターリンと同日の1953年3月5日。当時、彼は「赤の広場」近くに住んでいました。スターリンの葬儀のためにモスクワ中の花が買い占められ、彼の棺にはもみの木の小枝だけが添えられたと言われています。(小柳太郎)