
10月11日付の東京新聞電子版は、年度内に改定が予定される政府の「エネルギー基本計画」に対して、経団連が11日に発表した原発を最大限活用するよう求めた提言の中で、「約9割の企業が既設原発の再稼働の必要性を認識」と強調していることに対して、「数値を水増しした印象操作」と批判した。
記事によれば、経団連が行ったアンケートは、経団連の会員企業・団体約1700のうち、会長や副会長の出身企業や資源・エネルギー関連企業475社のみを対象としていた。そのうち回答したのはわずか167社で、そのなかで「原発再稼働は必要」と答えたのは86%だった。
つまりアンケートに回答したのは会員企業・団体の1割に満たない会社だけ。そこで86%が「再稼働は必要」と答えたのを捉えて、提言書の中で「経団連アンケートにおいても、9割の企業が既設の原子力発電所の再稼働の必要性を認識」と書きこんでいたのである。
提言書では、現行計画の「可能なかぎり原発依存度を低減する」という記述を削除し、原発の最大限活用を明示するよう要請している。この提言書を見たエネルギー基本計画を審議する委員らが、実際には1割以下にすぎないのに、「9割もの企業が再稼働を要望している」という誤った印象を抱きかねない。このような見え透いたやり方をまかり通らせてはならない。
