
10月13日、成田市赤坂公園で全国から480人が結集し、全国集会(三里塚反対同盟主催)が開催された。
成田空港会社NAAが、「不法耕作地を明け渡せ」と2006年に起こした耕作権裁判は、今年9月30日、超長期の17年に及んだ審理を終了し、結審を迎えた。一方、空港の大拡張をもくろむ政府・空港会社は、機能強化策に加え、空港ターミナルのワンターミナル化や貨物・物流関連施設の拡大・強化、鉄道網の整備など、「新しい成田空港」構想を本格化させようとしている。政府・空港会社は、現空港の問題を一日でも早く「結着」させ、地域の人びとと地域社会の破壊へと突き進もうとしている。こうしたなかで全国集会は開かれた。
集会で、市東さんは、「私は何も間違ったことをしていないが、『三里塚は裁判(内容)では勝つが、判決では負ける』と故・北原事務局長が言っていたように、判決には期待していない」と。しかし「農民にとって農地は命。その農地で育てた有機野菜を消費者に届け、喜んでもらうことが私の生き甲斐。そしてどんな判決が出ようが頑張っていく」と力強く語った。
基調報告に立った萩原富夫さんは、①耕作権裁判に必ず勝利しようと訴え、②現在進められている機能強化と「新しい成田空港」構想が、成田空港を一大物流拠点へ改造し、兵站基地化となることを明らかにし、③この攻撃が農業、地域、環境の大規模破壊をもたらすと警鐘を鳴らし、④全国の闘う仲間と共に闘うことを訴えた。
集会は、反対同盟、弁護団、市東さん、また、関西実行委員会などの支援団体から発言があった。川口真由美さんのパワフルな歌もあり、集会後は、成田駅に向けてデモが行われた。
耕作権裁判が結審
9月30日、17年にも及んだ耕作権裁判は結審した。審理が超長期に及んだのは、NAAが、市東さんにたいして「不法耕作者」の烙印を押しながら、千葉地裁、東京高裁の「文書提出命令」も拒否し、「不法耕作」の立証活動を何一つ行わなかったためである。弁護団は400頁をこえる最終弁論書を提出、各弁護人が要旨を陳述した。一方、NAAは最終弁論も放棄し、訴えの「正当性」さえも主張しなかった。そして、裁判長は裁判の終結を宣言したものの、判決期日を指定しなかった。
負けるはずがない裁判であるが、予断は許さない。ましてや「仮執行付き」判決など絶対許してはならない。千葉地裁への働きかけが呼びかけられた。(野里豊)
