
10月9日、大阪朝鮮文化会館(東大阪市菱江・大阪朝鮮中高級学校体育館)で行われた「花園校舎感謝祭」(写真上)に参加した。
来年度から新校舎(大阪市東成区中本東)に移転するため、花園校舎での最後のイベント。在校生、卒業生、オモニ・アボジ・ハルモニ・ハラボジ、地域同胞、日本人支援者などで会場は満杯。 オープニングは歌とダンス。校長先生のあいさつ、中3・高3生の語りと歌があり、中高教員の合唱と続く。そして、乾杯のときにサプライズゲストが登場。ラグビー日本代表で活躍している李承信(リスンシン)さんだ。ひときわ大きな歓声が上がる。そして大阪朝鮮学校出身者の金剛山歌劇団員による公演。70年の学校をめぐる歴史が映像で紹介され、その時々の詩を朗読。最後に、全生徒がステージに登壇し校歌を大合唱。
1952年4月に生野区田島に朝鮮高級学校として開校し、57年8月に東大阪玉串町に移り、73年4月に東大阪市菱江に移り、20年4月からさらなる飛躍をかけて、中高一貫校として「朝鮮中高級学校」と改名した。
日本の侵略戦争で祖国を奪われ、異国に追われ、民族の言葉や文字を奪われた。日本の敗戦・朝鮮の独立とともに、帰国へ向けて文字と文化を取り戻そうと「国語講習所」を始め、日本政府の朝鮮学校閉鎖令をはねのけ、一切の補助もない中、炭鉱労働や屑鉄拾いなど過酷な労働の中で汗水を流してためた資金で、1世の同胞たちが立ち上がって建てられた。その「ウリハッキョ」を、2世・3世・4世と引き継いで守り育ててきた。
大学受験資格や、高体連公式参加資格、JR通学定期券割引適用など、差別の中から一つ一つ勝ち取ってきたのも、同胞たちの力だ。各種税金を納めているのに、高校無償化からの排除や補助金のカットなど、公的差別は今も続いている。高校無償化適用と補助金復活を求めて毎週火曜日の府庁前の行動は、日本人支援者とともに、12年目に。固いきずなもできてきた。保護者はいくつもパートをかけもち、ハッキョのイベントごとにバザーを開いて、その収益金を学校運営に充てている。
25年1月に新校舎が完成予定。これからは、異なる民族がお互いの歴史・文化・伝統を尊重し、多様性を受け入れることができる多文化共生社会になる。国際社会で活躍できる教育をめざして、民族教育100年へ向けて、新たな飛躍をかけたスタートを切る。参加者全員で確認し合った集いだった。 (佐野裕子)
※写真は大阪朝鮮中高級学校オモニ会のフェースブックから転載
