面白いマンガ本を読んだ。タイトルは『弟の夫』。弟だから当然「男」。その夫というのだからこれも「男」。つまり二人はゲイであった▼ある日、父ヤイチと小学生カナの父子家庭に、カナダ人の男性マイクが訪ねてくる。ヤイチには双子の兄弟リョウジがいて、カナダへ渡った数年後、死亡の知らせがきた▼弟リョウジはカナダでマイクと暮らしていたのだ。弟の「夫」が男であることを受け入れられないヤイチだが、カナは外国人の叔父さんがいたことに大喜び。娘の態度になんとかマイクを理解しようとするが、従来の価値観や世間体から抜け出せない▼しかし、数週間ともに暮らしていると男や女ではない人間同士の交流を愛おしいと思うようになる。「結婚って愛し合った人同士がするんだよね」という率直さをわが娘に教えられたヤイチは、マイクがカナダに帰る日、ハグをして別れる▼まだ同性婚を認めない政府に、それが人間の価値を決めることだろうか、と問うてみたい。(侑)