
1952年、熊本県で起こった元・村職員殺害事件。ハンセン病患者とされた男性が「犯人」とされた菊池事件。国立ハンセン病療養所・菊池恵楓園内に隔離され、無実を訴え続けながら「特別法廷」で裁かれ3度目の再審請求棄却の後、1962年9月に死刑が執行された。
11月5日、再審請求審の三者協議(地裁・検察・弁護団)が熊本地裁であり、門前集会(写真)と報告会に参加してきました。10月1日の三者協議では証人尋問が行われ、弁護側証人として内田博文さん(九州大名誉教授、刑事法)が「菊池事件は、療養所内に隔離された『特別法廷』で裁判が行なわれた。憲法37条1項8条(公開原則)、14条(法の下の平等)、被告がハンセン病患者だとした差別的扱いは13条(個人の尊重)、弁護人が弁護をしなかったのは37条3項(弁護を受ける権利)に反するなど、多くの憲法違反があった。憲法に違反する裁判手続は、再審開始の理由となる(憲法的再審事由)」と証言。検察は予定していた反対尋問をせずに終了しました。
その後10月7日、検察は弁護団が提出している親族証言にかかわる「供述心理学者」意見書、凶器の信憑性についての意見書に反対の立場の意見書を提出。30日には、弁護団が「菊池事件の裁判手続は憲法違反が明白であり、裁判所は再審開始決定を下すべき」との意見書を出しました。
11月5日、三者協議後の報告会。弁護団から「裁判所からは結論は出ずに意見交換が行われ、検察は『証人尋問について裁判所が弁護団と同じなら、証人尋問は不要。憲法問題では再審事由にならない』と主張した」と報告がありました。そして「憲法的再審を認める可能性が高まると考えているが、親族証言や凶器などの実体的証拠の審理をする場合は、審理はさらに長引く可能性がある」との考えが示されました。
地裁が「次回三者協議を12月19日に行う」と指定し、「実体的審理に入るかなどの方針を事前に双方に連絡する」と説明。徳田靖之・弁護団共同代表は、「裁判所は、憲法的再審事由を認めるかどうかを判断するのは初めて。慎重な対応を取らざるを得なかったと解釈しており、マイナスではない。再審開始の方向にするのか、それを棚上げして実体的な事由について審理するのかという議論の段階に来ている」「憲法問題で再審決定しても、検察が即時抗告することも踏まえ考慮していると思う」と述べました。
菊池事件再審請求は、大きな山場を迎えています。(江嶋三智)
