「9条改憲を許さない滋賀県民集会part‌19」が、憲法公布記念日の11月3日、大津市内で開かれた(写真)。19回目の今回は、「憲法9条に自衛隊を軍隊として明記する」と主張する石破首相が登場する中での開催となった。
冒頭の主催者あいさつで土井裕明共同代表は、「衆議院選挙で自公はオウンゴールで負け、立憲野党も共闘に背を向けている部分が大きい。これからは我々の力量が問われる」と述べた。

武器輸出国への変身

続いて元日弁連事務総長の海渡雄一さんが、講演。「総選挙の結果、当面、明文改憲の発議はできなくなったが、改憲への準備は着々と進んでいる」と警鐘を鳴らした。
まず、「法制面から見た自公政権の戦争準備は、明文改憲ができない状況下でも着々と進んできた。その第一のあらわれは22年に安保三文書において日本は初めて中国を仮想敵国と規定したことだ」として、次のように指摘した。
「現在の中国の経済力や軍事力の水準では日本が中国には勝てないことは明白なのに、アメリカの言いなりになって中国を敵国と規定し、防衛力をGNP1%から2%にし、南西諸島をはじめ日本全土をミサイル基地化して、敵基地攻撃能力という先制攻撃を仕掛ける構えを見せている。中国を挑発することは戦争につながりかねない」として、「戦争を準備する中で大幅に軍事予算や兵器ローンを増やして、世界が驚くような武器を作って売る国に変身しようとしている。大軍拡や敵基地攻撃能力では戦争は止められない。当面は自公政権の危険な動きに機敏に反対し、民間レベルでの交流や友好を深めて戦争を回避する必要がある」と強調した。

マスコミの役割

さらに「戦前の日中戦争の始まりの満州事変・柳条湖事件のように、戦争は政府の嘘から始まる」と警告し、政府を自由に批判するマスコミの大切さを強調した。
また「自公政権は、秘密保護法や共謀罪に続いて、土地規制法や経済安全保障法などの一連の法律を矢継ぎ早に成立させ、国民を監視し情報を統制して戦前の国家総動員体制に匹敵するような体制を作って戦争準備に突き進んでいる」として、集団的自衛権行使を可能とした安保法制見直しに対する市民の闘いの盛り上がりや今回の衆院選で自公や維新などの改憲勢力を退潮させた勢いなどで、自公政権や一部財界の野望を阻止しようと呼びかけた。

「JCIA」設置も

講演後、海渡さんが参加者からの質問に答えて、「経済安保法等を使って国民すべての情報を管理するような情報機関JCIAの設置が準備されている。すでに内閣情報調査室の人員が大幅に膨れ上がっており、公安警察や自衛隊の情報保全隊等すべてを巻き込もうとしている」と危機感をにじませて訴えた。