百条委員会に向かう斎藤知事

兵庫県知事選、私は告示4日目に期日前投票に行った。投票所の最寄り駅前に人が集まっており、何だろうと思いながら投票所へ。ちょっとびっくり、投票者は私一人。大きな注目を集めた知事選であり、多くの人が期日前投票にと思ったのに…。
帰りに駅に向かうと、神戸市では「地方」の駅なのに100人以上の聴衆を前に、斎藤元彦氏が演説をしていた。不信任決議が可決され失職した後、初めの駅立ちなどでは1人。通勤する人たちも見向きもせずに通り過ぎていた。
状況が一変したのは選挙戦が始まり、立花孝志氏が非公開だった百条委員会の音声データを街頭演説で流しはじめたころから。いっきに人々の関心が高まった。私は普段から新聞も読まないし、ほとんどテレビも見ない。多くの人たちがユーチューブ配信される立花氏の動画に影響されていく。配信される本数は、斎藤・立花陣営が圧倒的に稲村陣営を上回っていた。日に日に、斎藤氏の街頭演説や練り歩きに人が群がっていく。まるでハロウィンの渋谷のようだ。
立花氏の「斉藤支援のため、同じ知事選に立候補」という、無茶苦茶な選挙活動もあった。驚くべきことに、斎藤氏は選挙終盤になると百条委員会での証言を翻し、「パワハラ、おねだりはしていません」と言い放つ。県議会の不信任決議や、百条委員会の在り方を否定した。
斎藤氏は、民間企業でいえば社員へのパワハラ、コンプライアンス違反により、取締役会で解任された社長が居直っているようなもの…。県知事という公職にある人、めざす人は
「普通の感性、常識、モラル」を持たなくてはならないだろう。
選挙翌日の11月18日、百条委員会の記者会見で竹内県議(百条委員)の辞職が明らかにされた。竹内氏は百条委員会で斎藤氏を鋭く追及していたが、立花氏による自宅への攻撃を受け、家族も恐怖にさらされたという、奥谷・百条委委員長も、自宅前での「非難」行動を受けた。
選挙結果は、残念ながら斎藤氏の圧勝(約111万票、2位の稲村氏は約97万票)となった。共産党推薦の大沢氏は約7万3千票、前回の知事選から11万票を減らした。共産党支持者も稲村氏に投票した結果だろう。ため息が出る。
今後、このような選挙が拡がるのかも知れない。危惧するのは、沖縄。辺野古基地建設に反対する玉城デニー知事に、どんな手法が行われてくるのか…。(こじま・みちお)