
九州電力は12月2日、玄海原子力発電所3号機(佐賀県玄海町)で、使用済み核燃料を保管する貯蔵プールの容量を増やす工事が完了し、同日から運用を始めたと発表した。貯蔵容量は1・6倍となり、2029年まで運転を続けても収容できるとしている。
これは「リラッキング」と呼ばれる工事(図参照)で、20年に着工していた。収容できる燃料は1050体から1672体に増えた。11月末時点で978体を保管している。
プールの大きさは変わらないので、容量が増えたということは使用済み核燃料棒と使用済み核燃料棒の間隔が狭まったということだ。使用済み核燃料棒は非常に高温で放射線量も高い。使用済み核燃料は高熱を発し続けており、核分裂を避けるために間隔を空けて保管しなければならない。
リラッキングをすると、水温が上昇し、蒸発によって水位が低下する。水を補給できなければ、ジルコニウム合金でできた被覆管が水蒸気と反応して水素を発生させ、水素爆発と火災を引き起こす危険がある。
なぜこのようなことをするかと言えば、使用済み核燃料の捨て場所がないからだ。乾式貯蔵による地下埋設も考えられているが、地震多発国の日本にはどこにもそんな場所はない。原子力行政は無責任な延命方法を考えるのではなく、原発廃炉こそ考えるべきだ。
