
労働法でもある「ホイッスルブロアー法」
再選された斎藤知事が公職選挙法違反で刑事告発された。元県民局長による「7つの疑惑」内部告発に始まり、元局長の自死、51年ぶりの百条委発足、県議会による不信任決議、失職、再立候補、立花氏の「斎藤応援」と百条委委員長宅への脅迫行為、「奇跡の再選」、SNSを全面担当した会社社長のブログ、斎藤知事の刑事告発など、「兵庫県政始まって以来の大問題」が現在も展開中である。
そもそも公益通報者保護法は、「ホイッスルブロアー(「警笛を吹く人」)法」と言われ、企業組織や行政内部の不正行為を糺す公益通報者を解雇や不利益扱いから保護する法律であり、労働法の一つ。米国では、チャレンジャー爆発事故(1986年、宇宙飛行士7名が死亡)の際に、燃料密封に欠かせない「Оリング」の低温耐性に問題があり、技術者が発射中止を訴えていたにもかかわらず、NASAが強行し大事故を引き起こした。その反省から法律ができたといわれる。「一人の不正を暴く人を保護する」ことで社会の腐敗・転落を防止する、非常に大切な法律である。
「通報者への不利益」は禁止
企業・行政の組織内不正に対し、①内部通報、②行政機関通報、③外部通報(報道機関など)と広く通報手段を認め、匿名も可であり、通報者に対し一切の不利益が禁じられる。必要な調査を行い事実が確認された時は、法令に基づき措置がとらなければならない。組織ぐるみで通報者を「裏切り者」としたり、「抹殺・隠蔽」することを防止するためだ。
立花氏は、今になって「斎藤さんはパワハラしていました」ととぼけているが、片山副知事が3月25日に県民局長のパソコンを押収した際、私物のUSBメモリーのデータをコピーした疑い(音声に「USBは私物?(片山)」「そうです(局長)」)が出てきた。「就業時間中にプライベートな作業をしていた」という斎藤知事の記者会見は、「でっち上げ」の可能性があり、この中身(不倫問題)が暴かれ局長を死に追いやったのではないか。
内部告発と関係ない私的情報を暴く行為も違法だが、有権者を「下ネタ好きなバカ(ママ)」呼ばわりし、「(下ネタに)首突っ込む」と公言する立花氏が、違法なルートでデータを入手し、SNSでの「巧妙な理屈」により大宣伝したことが、逆転劇を生んだと言える。
元県民局長は4月4日に正式に公益通報窓口に通報しているが、3月12日に文書を一部の報道機関や県議に配布したことも外部通報として保護の対象である。
「不正」を告発された知事や副知事が、3月末の退職を「保留」し降格人事を行ない、さらに正式機関に調査も行わせずに、5月7日に「懲戒処分」を行なったことは、二重の公益通報者保護法違反である。
権力者が「不正隠蔽」のために、元県民局長を「抹殺(自死に追い込む)する」という絵にかいたような不正行為である。自死に追い込まれた元県民局長の尊厳にかけ、公職選挙法違反とともに、斎藤知事の犯罪的行為が明らかにされなければ、同じことが繰り返されるであろう。(石田)
