
1月に聴いた山本昭宏さん(神戸外大准教授)の講演でも触れられた、エコーチェンバーとフィルターバブル。エコーチェンバーは「反響室」の意味で、まるでエコーのように自分と同じ意見に囲まれることで多様な視点に触れることができなくなり、異なる意見を排除し、意見が強化、極端化されたりする現象という。
フィルターバブルは「ふるいにかけられ、泡の中に閉じ込められる」意味合いか。インターネット上の情報が、個々のユーザの関心や過去の検索履歴などに基づいてアルゴリズム(処理手順)の働きによって選別的に表示される現象で、自分の価値観に合った情報にばかり触れ、異なる視点に触れる機会が減少し、偏った認識や固定観念を持つ現象という。ともにSNS・ネットの世界で最近注目される現象だ。
見たいものしか見ないとか、望まないものは遠ざけるとか、人の弱い心性をワシづかみにするSNSのデメリットを、きちんと対象化する必要がある。
ふと思うに、これまでの世界、宗教世界や政治セクトの世界でもあったかと既視感に捉われるが、それはともかくとして「多様性」「寛容」「共感力」「エンパシー」が融解・摩耗し、「2項対立」「敵を作って叩く」「対立や分断」「差別やヘイト」が巨大化して行く世界的傾向を促進しているとしたら、このツールの正しい使用法を学ばないと大変なことになるかもしれない。
他方で科学技術の発展速度と、それを制御する技術の速度は非対称であるという。その最たるものが「核」問題で、本質的に同じ困難な課題に人類は直面しているのではないか。兵庫県政の斎藤再選劇を経て、深く憂う。(石田)
