「原発事故はいのち・生活・生業(なりわい)を奪う」集会が開かれた(3月9日、神戸市内、100人余)。「地震と原発―私が原発をとめた理由」を樋口英明さん(元福井地裁裁判長)、「今は私のこと、やがてはあなたのこと」を、菅野みずえさん(福島原発事故避難者)が話した。樋口さんは福井地裁の裁判長として「大飯原発3、4号機の運転差止め判決」(2014年5月21日)、「高浜原発3、4号機の運転差止め仮処分決定」(15年4月14日)を下した。集会後、神戸・元町の繁華街をデモ行進し、原発の危険性を訴えた。

樋口さん「私が原発を止めた」理由
樋口英明さん 昨年の石川県奥能登地震。珠洲原発が建設されなくて本当に良かった。建設されていれば、どれだけ大きな被害が出たか。想像をはるかに超える原発事故につながった。原発事故の問題と本質は、ただ二つ。「人が管理し続けないといけない」「安全3原則、止める、冷やす、閉じ込める」こと。人が管理できなくなったときの事故被害は、想像を絶するほど大きい。原発にコスト論は通用するのか。東電の年間利益は2500億円であり、福島原発事故では25兆円の損害額がでた。一度の事故によって、巨大企業の100年分が吹っ飛んでしまうような発電方法に、コスト論は通用しない。
私が原発を止めた理由。①原発の過酷事故は極めて甚大な被害をもたらす。②そのために原発には、高度の安全性(事故発生率が低いこと)が求められる。③「地震大国日本」において原発に高度の安全性が求められるということは、高度の耐震性が求められることにほかならない。④しかし、わが国の原発の耐震性は極めて低い。したがって原発の運転は許されない。数字で見る福島原発事故の被害は、「15万人が避難し、300人の小児甲状腺癌、25兆円の経済的損失と、東京ドーム7200個分の居住制限区域」となった。
南海トラフ地震が予測されるなか原発を動かすのは、「明日大雨が降ります、だけど傘はいりません。なぜですか。あなたの周りだけは降りません」というような議論をしているに過ぎない。だから、原発は動かしてはならない。

「避難は、たたかい」
菅野みずえさん 国と東電への怒り。国は「わが家に帰れ」と言います。「ここに住めば年間100万円出ますよ。一戸建ての住宅の家賃、2万1千円」「子どもはスクールバスで通わすので安全ですよ」「教育費は無償、今なら医療費も要りません」などと帰還させ、人口を増やすためにささやいています。「福島が復興した」ことをみせるために、やっています。
避難するということは、私はたたかいとしています。原発に反対ということは、国土と国民の安全を守ること。みなさんとともに年寄りも頑張り、若い人の命を守っていかなければなりません。