近所のスーパーにコメを買いに行った。先日までは高額ではあるが棚に並んでいた商品が …… 見当たらない。地域や店舗によっても違うだろうが、「備蓄米幻想」は見事に裏切られた。政府はなんと言っていたのか。「これまで不作や災害時に限定していた備蓄米の放出を行う。今まで買いだめしていた業者もこれで米価の値下がりを恐れて在庫を吐き出し、円滑な流通に戻る。当然、コメは安価となり国民が買える状況になる」との主張はどうなったのか。
私が何よりも腹立たしいのが、備蓄米放出のカラクリというかその真相だ。放出(売渡し)の相手は全農や経済連、大規模農協にあらかじめ限定されているため、入札参加者はわずか7業者になった。つまり政府の備蓄米放出は、円滑な流通や価格抑制という目的とは裏腹に、そもそもの動機が大手の量販店や外食産業に不足したコメを供給することだったのだ。結果、コメは安価にならないし、市民にとっては備蓄米が何処に行ったのか分からないという始末だ。
関税を払っても輸入米の方が安いので、コメの輸入は拡大するだろう。トランプはこれを好機とみたのか、「日本はコメに700%もの関税をかけている」とウソ八百を並べ立てているが、こうやって日本政府にアメリカからのコメの輸入を増やせと圧力をかけているのは間違いない。
コメの増産は緊急の課題である。稲作農家への所得補償もそうだ。3月30日、「令和の百姓一揆」を掲げた都内の行動に4500人が参加した。トラクター31台を連ね、「欧米並みの所得補償を!」と国に求めるデモは壮観だった。
「採算がとれない米価が続いて借金がふくらむ一方だ」と訴える稲作農家は、抜本的な農政改革を求めている。この行動は東京だけではなく、北海道から沖縄まで全国14カ所で取り組まれた。「百姓一揆」を孤立させず、私たち消費者も声を上げよう! 食いものの恨みは恐ろしいのだ。(当間弓子)