アジアから問われる日本の戦争展の展示

日本がおこなってきた侵略戦争の加害責任を問う展示会、「アジアから問われる日本の戦争展」が今年も大阪市立阿倍野市民学習センターで開催されました(5月4日~5日)。今回で7回目です。5日はノーモア沖縄戦えひめの会・高井弘之さんの講演会がありました。高井さんは著書に「誤謬だらけの『坂の上の雲』- 明治日本を美化する司馬遼太郎の詐術」(合同出版 2010年)などがあります。
 戦争展では、30以上の市民団体による展示が行われ、慰安婦問題や沖縄の現状について、さらには関西でのXバンドレーダー問題、祝園のミサイル弾薬庫問題などを取り組んでいる団体が、展示をおこないました。
 戦前の戦争プロパガンダの資料(戦意高揚のためのポスター、一般の雑誌の中にあふれる戦争宣伝等)などの展示は、なぜ多くの民衆が戦争に動員されていったのかを考えさせられました。

高井弘之さん

「新たな戦争態勢」に反対する
「継続する大日本帝国と新たな戦争態勢」と題する講演会で、高井さんは現在の日本における戦争準備が強く批判しました。
 現在、西日本を中心に自衛隊基地が着々と強化されています。その目的は米日による中国包囲網の構築です。そうした動きに対して西日本の各地で、地道な基地反対運動が行われています。高井氏は、「それを横につなげ、全体として大きな運動にしていくことが必要だ」と訴え、「日本の近代150年が、欧米の世界支配500年の近代史とつらなって、東アジアでの侵略と支配の歴史になっている」と強く批判しました。
 「明治維新以降の天皇制教育やアジア蔑視の思想(福沢諭吉などの)が、現在もなお継続されているが、グローバルサウスの台頭が著しい現在、欧米中心の近代史観から転換すべき時期にきている。ところが現在の多くの日本人は日米同盟によりかかって、それ以外の考え方を排除していることが問題だ」ということなのです。そして今後の日本の進むべき道を次のように述べました。
 「そもそもアメリカは、東アジアで単独で戦争をするつもりはない。あくまでも日本(および韓国)を前面にだして、自衛隊に東アジアでの戦争をさせようとしている。もし日本が、「そんなことはできない」と言えば、アメリカは何もできない。これが現実だ。アメリカのシンクタンクは日本がアメリカとの同盟から抜け出ようとすることを『危惧』しています。アメリカでさえそう思っているのだから、
日本が自らの意思でアメリカの軍事戦略から『抜ける』だけでいい。それは決して不可能ではない。新たに巨大な軍事力を準備する必要もない。それに対応した外交をすればいい。そのための世論を作っていくことが大切であり、市民の運動を多く作っていくことが必要だ」と。