4月26日、大阪市内のPLP会館で李香代(い・ひゃんで)さんの裁判を支える集いが行われた。2024年5月20日、大阪府泉南市の添田詩織市議=自民=からネット上でヘイトスピーチを受けたとして、在日コリアンの李香代さんが添田氏に賠償と投稿削除を求め提訴しました。公人が私人を標的にして攻撃する、卑劣極まりない言動に対して立ち上がり闘う李さん。この裁判を深く知り李さんを支えるとともに、差別のない社会を子どもたちに残すためにできることを一緒に考えようと、呼びかけられた。
 大阪市内で李さんが会社役員として働くイベント会社が、泉南市の事業を受けたところ、添田氏は、会社の代表が中国出身という点に触れ、「中国共産党がバック」などと事実と異なる言動をし、李さんが元朝鮮学校のオモニ会々長で府庁前の火曜日行動に参加した時の写真を上げて誹謗中傷する投稿をし、いとこの李哲(い・ちょる)さんを「在日留学生捏造スパイ事件で死刑判決を受けた」などと書き込んだ。李哲さんは2015年に再審無罪確定を受け2019年には当時の韓国大統領から謝罪を受けている。
 添田氏のエスカレートする投稿に、深い怒りを覚えるとともに、こうした発言をうのみにする若者が出てくるのではないかと強い危機感を覚え、添田氏の行為に法的責任を問い、罪を明確にしたいと思った。また子どもたちが、「オンマは何も悪くない。堂々としてほしい。なんでうったえないの? 黙っているのはおかしい」と元気づけてくれ、会社の代表も東京から駆けつけて、会社の理念にもとづく個性と多様性を尊重しながら、誇りをもってここに今立っていますと李さんは宣言した。
 添田氏は提出書面で「公金支出の必要性を追求する中で言及した。差的言動はしていない」と反論している。

対「犬笛型ヘイト」訴訟の立ち位置
 基調講演を行った中村一成(なかむら・いるそん)さんは、添田氏のヘイトを「犬笛ヘイト」という。「明示的指示」がない煽動をどうのりこえるか。そのためには社会的関心を起こさなければならない。多くの膨張支援が必要だ。
 この裁判の意味を「在日全体に対して売られたけんかは、買うしかない」と言って、本訴訟のポイントを掲げた。
 (1) 法的応戦と勝利の流れをさらに強固に
 (2) 「犬笛ヘイト」を差別煽動と認めさせる。
 (3) 「ヘイトスピーチ解消法」の弱さと狭さを拡張させる
 (4) ヘイト煽動政治を止める
 (5) 負担の重い現行制度の問題点を示す
 (6) 無償化裁判の「延長戦」
 これらの「進歩」を実現させたいと提起した。
 そもそも「在日」にとって「法」とは法の下の平等がない。「法」の下で管理・監視・追放の対象にされてきた。闘いの中で勝ち取って「今」がある。
 具体的裁判の歴史をたどり、法律で闘うのは、やるだけ無駄だというあきらめと闘うところから始まった。少しずつ差別は違法だと認めさせてきた。2016年に施行された「ヘイトスピーチ解消法」には限界がある。対象が狭い。
 同法第二条で「本邦外出身者・適法に居住する者を救済対象とする」「危害の告知と著しい侮辱、地域社会から排除することを不当な差別的言動という」と定義している。この限界をどう乗り越えるか。ここに今回のものをどうもりこませるかということになる。ここが一つのポイントだと思う。「ヘイト解消法」は罰則がない。「犯罪者みなし」もヘイトスピーチだとだと認められた。この先を目指す。
 過去は変えられないがその意味付けは変えられる。私たちのこれからで変えていきましょうと話を結ばれた。